労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  山陽新聞 
事件番号  中労委昭和44年(不再)第69号 
中労委昭和44年(不再)第70号 
中労委昭和45年(不再)第41号 
中労委昭和45年(不再)第56号 
再審査申立人  株式会社 山陽新聞社 
再審査申立人  山陽新聞労働組合 
再審査被申立人  株式会社 山陽新聞社 
再審査被申立人  山陽新聞労働組合 
命令年月日  昭和48年 7月18日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  組合員7名配転、1名出向、組合文書の記事内容を問題とした懲戒処分および一時金における差別的取扱をめぐる事件で、組合側の主張を認め、組合側の再申立てについてのみ一部初審命令を変更し、他は棄却した。 
命令主文  1 (中労委昭和44年(不再)第69号および同第70号事件)
岡山県地方労働委員会昭和41年(不)第42号および同第46号事件の命令主文第1、2項を次のとおり変更する。
(1) 株式会社山陽新聞社は、山陽新聞労働組合の組合員X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7に対し、昭和41年8月4日付でなした懲戒処分を取り消し、同人らの処遇につき処分がなかったと同様の状態に回復させなければならない。
(2) 各再審査申立人のその余の申立てを棄却する。
2 (中労委昭和45年(不再)第41号事件)
(1) 岡山県地方労働委員会昭和42年(不)第8号事件の命令主文を取り消す。
(2) 株式会社山陽新聞社は、山陽新聞労働組合の組合員X1、X2、X3、X8、X9、X10に対して、昭和42年6月20日支給した夏期一時金について、各人の本給に78.3%を乗じたものを調整金支給額とし、調整金実支給額との差額を支払わなければならない。
(3) 株式会社山陽新聞社は、下記内容の文書を命令交付の日から5日以内に山陽新聞労働組合に対し交付するとともに、同内容の文書を縦1メートル、横 1.5メートルの大きさの白紙に墨書し、本社内の見やすい場所2ヶ所に10日間掲示しなければならない。
                記
 株式会社山陽新聞社は、山陽新聞労働組合の組合員X1、X2、X3、X8、X9、X10に対して、昭和42年6月20日支給した夏期一時金について不利益取り扱いをしたことは、貴組合の弱体化を意図した不当労働行為であったことを認め、ここに深く陳謝するとともに、今後かかる行為を繰り返さないことを誓約します。
    昭和 年 月 日
    山陽新聞労働組合
        執行委員長 X4 殿
             株式会社 山陽新聞社
               代表取締役 Y1
(4) 再審査申立人のその余の申立ては棄却する。
3 (中労委昭和45年(不再)第56号事件)
 本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
組合の機関紙は教宣資料であるから組合の見解を強調する場合のあることも当然であり、特に労使関係が険悪で不当労働行為が続いている状態においては、会社の行為を労務対策と結びつけ評価し、教宣の手段としたとしてもやむをえないものである。

0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合ニュースの記事の内容の中には表現上穏当を欠く点もあるが、全体としてみれば正当な組合の教宣活動の範囲内にあると考えられるから、本件の懲戒処分は正当な組合活動故の不利益取扱いであり、また組合の弱体化を図った支配介入行為であると認めざるを得ない。

1202 考課査定による差別
2900 非組合員の優遇
会社側は組合側の主張に対し具体的な資料を掲示して反論していないこと、組合員の成績が平均以下であるという主張も、労使関係が険悪な状況においては主観的は考課査定方法による査定が公正になされたとは認められないこと等を総合的に判断すると、会社の行為は7条1号および3号に該当する不当労働行為といわざるを得ない。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合活動家8名を異職種または辺地へ配転し、また子会社へ出向させたことは、いずれも合理的な理由がないことを考えると、組合活動家故の不利益取扱いであるとともに、組合の弱体化を企図してなされた支配介入行為であると認めざるを得ない。

4400 原職相当職への復帰を命じたもの
被配転者の中には原職がなくなっている者がいるけれども、かかる者については原職相当職に復帰させるべきである。

4408 バックペイが認められなかった例
事件後6年以上経過しており会社側に再査定を命ずることは不適当であること、是正金額の算定方法については会社側から具体的資料の提出がない以上組合側主張によらざるを得ないこと等から、本給の78.3%を調整金支給額とし、その差額を支払うよう命ずるものである。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集51集258頁 
評釈等情報  労働法律旬報 1974.2.25   853号 

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