労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  北海電子工業 
事件番号  京都地労委昭和46年(不)第8号 
申立人  総評全国金属労働組合京滋地方本部北海電子工業支部 
被申立人  北海電子工業 株式会社 
命令年月日  昭和48年 9月22日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  職場離脱、ビラ配布等を理由とする委員長、書記長の自宅待機、3回にわたる出勤停止処分、解雇、および組合旗の撤去などをめぐる事件で、処分取消し、原職復帰、バックペイ、ポストノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、X1、X2に対する昭和46年6月15日から18日までの各自宅待機期間中同人らが受けるべきはずの諸給与相当額を支払わなければならない。
2 被申立人は、X1、X2に対する昭和46年7月22日付、同月29日付および同年8月9日付の各出勤停止処分を取り消し、同年7月22日から同年8月15日までの同処分期間中同人らが受けるべきはずの諸給与相当額を支払わなければならない。
3 被申立人は、X1、X2を原職に復帰させるとともに、昭和46年8月16日から原職復帰に至るまでの間同人らが受けるべきはずの諸給与相当額を支払わなければならない。
4 被申立人は、下記内容の文章を縦1メートル、横 1.5メートルの大きさの模造紙に墨書し、被申立人会社内の従業員が見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
               記
 会社は、貴組合の組合員に対し、組合からの脱退勧誘等の言動をしたり、組合の組合旗を無断で撤去したこと、また、貴組合の執行委員長X1、書記長X2に対しそれぞれ自宅待機命令を出し、3回にわたり出勤停止処分を行ない、さらに同人らを解雇したことはいずれも不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。
 以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約いたします。
     昭和 年 月 日
   総評全国金属労働組合京滋地方本部
   北海電子工業支部
      執行委員長 X1 殿
             北海電子工業株式会社
               代表取締役 Y1
                 同   Y2 
判定の要旨  3020 組合活動への制約
組合旗の会社塀への取り付けは、一時金要求のデモンストレーションとして行なわれたものであるが、労働組合が通常行なうことであって、会社の業務に支障をきたすことのないところへの取付けであることからみても正当な組合活動であり、これを無断撤去した会社の行為は不当労働行為である。

0200 宣伝活動
組合の行なったビラ配布は、始業時間前に会社建物の前で行なったものであり、組合結成を従業員に知らせる目的でなしたものであるから、正当な組合活動というべきである。

0200 宣伝活動
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
1401 労務の受領拒否
3700 使用者の認識・嫌悪
会社が、職場放棄とビラ配布を理由にX2らを自宅待機処分に付したことは、同人らの行動は正当な組合活動であると認められ、また会社は自宅待機命令の撤回を受諾したにもかかわらず、同期間中の給料を支払っていないことから、同人らの活動を困難ならしめる目的でなされた不当労働行為である。

0200 宣伝活動
1400 制裁処分
会社が、ビラ貼付を理由にX2らを出勤停止処分に付したことは、ビラ貼付場所、枚数が会社建物付近の壁に30枚程度であって、内容も会社倒産を目的としたものでないから、職場秩序がみだされたとも認められず、ビラ貼布は正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは認めがたい。したがって、処分は不当である。

0410 目的・手続き
組合の行なったストは、組合結成通知書および要求書の受領を拒否した会社の組合否認の態度に抗議してなされたものであり、組合員全員の決定にもとづき会社に通告していることが認められ手続的にも非難されるべき点はみられないことから、正当な争議である。

0600 暴力行為
会社が、会社幹部に対する暴力行為等を理由に委員長、書記長を解雇したことは、副社長と委員長らのあいだに押問答があり、その際副社長が負傷したということはあったが、委員長が暴行を働いた事実は認めがたく、明らかに失当というべきである。

0410 目的・手続き
1400 制裁処分
会社が、ストと無届欠勤の区別がつかない状態で無届欠勤を重ねたことを理由にX2らを出勤停止処分に付したことは、組合結成直後に会社の支配介入行為が相次ぎ、その対応におわれていたこと、組合は事前または事後にすべて通告しており、スト、不就労と無届欠勤との区別がつかないとはいえないことから処分は不当である。

1105 職場外の行為
1400 制裁処分
会社が、X2らが出勤停止処分中に寮で酒盛りをし、会社幹部を侮辱するなど反省の色がないとして、第二次出勤停止処分に付しているが、飲酒は就業時間中のことでなく、私生活の場所でのことであること、飲酒の席上同人らが会社幹部を侮辱したような形跡も認められないので、不当労働行為である。

1400 制裁処分
会社が、無届欠勤を理由に第三次出勤停止処分したことは、第二次出勤停止期間について明示がなく、解除通告もされていなかったこと、出勤停止期間は無期限と解される発言をしていること等から、X2らは就労を拒否されているものと判断して出勤しなかったものであり、妥当な措置とはいえない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
社長ら会社役員の組合長らに対する言動は、組合結成を露骨に非難し、組合からの脱退を勧誘し、家族を通じて組合活動を抑制し、けん制したものと解さざるをえず、不当労働行為といわなければならない。

3700 使用者の認識・嫌悪
会社は、委員長の副社長に対する行動を理由に出勤停止処分に付しているが、同人の行動は責められるべきであるが、副社長の執拗な言動に起因するとみられることから、処分は妥当を欠くものといわなければならない。

3700 使用者の認識・嫌悪
会社は、X2の解雇理由として年令詐称を追加しているが、会社自身がこの同人の年令詐称は本件解雇後に知ったことを認めているのであり、かかる同人の行為を同人解雇の原因と認めることはできない。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集51集210頁 
評釈等情報   

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