労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  ミナミタクシー 
事件番号  群馬地労委昭和47年(不)第1号 
群馬地労委昭和47年(不)第4号 
申立人  ミナミタクシー労働組合 
被申立人  ミナミタクシー 有限会社 
被申立人  Y1 
命令年月日  昭和48年 9月13日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合結成直後に、組合員に対し退職勧奨をしスト中の行為を理由に組合長を懲戒解雇し、団交を拒否したこと等をめぐる事件で、組合長および組合員X1の原職復帰、バックペイ、団交応諾、支配介入の禁止、ポストノーティスを命じ、他は棄却した。 
命令主文  1 被申立人らは、申立人組合の執行委員長X1に対する昭和47年6月23日付の懲戒解雇を取消し、原職に復帰させるとともに、解雇の日から復職に至るまでの間に同人が受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人らは、申立人組合の組合員X1を原職に復帰させ、昭和47年6月28日から原職復帰に至るまでの間に同人が受けるはずであった賃金相当額から10万円を差引いた金額を支払わなければならない。
3 被申立人らは、申立人組合が申入れた団体交渉を正当な理由もなく拒んではならない。
4 被申立人らは、申立人組合の組合員に対して、組合からの脱退を勧誘あるいは強要し、また金銭の供与によって退職を勧誘するなどの支配介入の行為をしたはならない。
5 被申立人らは、この命令書交付の日から7日以内に、縦1メートル、横 1.5メートルの木板に下記のとおり楷書で墨書し、被申立人ミナミタクシー有限会社本社の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
                記
 われわれが、貴組合員との団体交渉を正当な理由なく拒否し、また貴組合員を不利益に取扱い、かつ貴組合からの脱退をすすめたことは、労働組合法第7条第1号、第2号、第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰返さないことを誓約します。
 昭和 年 月 日(注 掲示する初日の年月日を記載すること)
   ミナミタクシー労働組合
       執行委員長 X2 殿
             ミナミタクシー有限会社
               代表取締役 Y2
             多野郡鬼石町大字鬼石 535番地
                     Y1
6 被申立人らは、前1、2、5項に命ずるところを履行したときは、遅滞なく当委員会に文書で報告しなければならない。
7 申立人のその余の申立てはこれを棄却する。 
判定の要旨  0415 職場占拠
組合がスト中に無線室を占拠したことは、社長の言動により、組合が分裂した事情にあったこと、無線室の占拠が電波法等で禁止する無線妨害を引き起こしていないこと、使用者にロックアウトをもって対抗することもできたことなどからみて、懲戒解雇をもって責任を追求しなければならない程度の違法性があったとはいえない。

0415 職場占拠
無線室の占拠などにより別組合員の就労が阻止されたとしても、別組合員は本社以外の営業所でスト中就労していたのであるから、本件ストを違法とはいえない。

0415 職場占拠
0421 幹部責任
組合がストの手段として自動車キイの保管をしたことを理由に組合長X2の幹部責任を追及することは、X2がその行為をした、あるいは阻止義務を果たさなかったとの証明はなく、この行為により会社が不法な損害を蒙ったとの証明もないのであるから、妥当でない。

1101 承認・合意(含退職金等の受領)
僅か2名になった組合員中のX1に対して、不当労働行為意図をもって退職を強要し、退職に至らしめた場合は、同人に多少勤務上運転手として不適格な事実があっても、客観的に合理性ある理由を具体的に証明しない以上、それらを越えて先の不当労働行為意図を重視するのが妥当である。

2242 回答なし
会社は、組合内部の不統一を理由に団交を拒否しているが、その具体的説明として、僅々二日間に一本化が実現しなかったことを挙げているが、到底団交拒否の正当な理由であるとは認められない。

2621 個別的示唆・説得・非難等
会社の「上部組合へ加入するなら会社を解散する」等の言動により組合員が集団退職したことは、運転手募集広告、会社経営状態からみて会社解散の意思の無かったことは明らかであるから、組合を混乱させるための欺罔的言動であり支配介入行為であるとみなければならない。

4000 退職金等の受領
4100 退職届けの提出
僅か2名となった組合員のうち、X1は、使用者の言を信じて退職届を提出し退職金を受領しているが、これは、使用者の不当労働行為である退職強要の結果であるから、無効なものというべきである。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
Y2の配転は同人の組合活動を理由とする不利益扱いであるが、同人は会社の欺罔的言動により退職し、その後結婚していること等審問の経過に照らして、退職を争おうとする意思が認められないので、配転取消しという救済の利益はすでにないものと判断する。

4833 組織の消滅(含1人組合となった場合)
申立組合は、全自交群馬地連および高崎地協に所属し、その指導のもとに団体活動を行なおうとしている組合であり、退職を争っているX1は組合員であるから、一人組合であるとはいえず、その社団性はなんら否定されない団体であることは明らかである。

4905 経営補助者
取締役Y1は、被申立人会社において従業員に社長と呼ばれ自ら社長と称し常時出社して会社の運営管理に当り、本件X2の解雇、X1の退職等について一存で専決実行し得たことが認められる以上、労規法7条にいう使用者に該当するというべきである。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集51集185頁 
評釈等情報  労働判例 1974.1.1  188号 78頁 

[先頭に戻る]