労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  福山梱包工業 
事件番号  広島地労委昭和46年(不)第12号 
広島地労委昭和47年(不)第1号 
申立人  X1 
被申立人  福山梱包工業 株式会社 
命令年月日  昭和48年 9月11日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  職場離脱、職長らに対する言動、資料の紛失等を理由に書記長を配転し、出勤停止、減給処分に付し書記長辞任を慫慂した事件で、原職復帰、処分取消し、バックペイ、支配介入の禁止を命じ、他は棄却した。 
命令主文  1 被申立人福山梱包工業株式会社は、昭和46年10月29日付けで配置転換した申立人X1を原職に復帰させ、同月同日から原職復帰に至るまでの間に同人が原職にあったなら受けるはずであった諸給与相当額と、同人がその間支給を受けた諸給与との差額に相当する額を支給しなければならない。
2 被申立人福山梱包工業株式会社は、昭和47年1月4日付けで申立人X1に対して行なった出勤停止処分及び減給処分を取り消し、これらの処分がなかったなら同人が受けるはずであった諸給与相当額を支給しなければならない。
3 被申立人福山梱包工業株式会社は、申立人X1に書記長の辞任を慫慂するなど組合の運営に支配介入してはならない。
4 その余の申し立ては棄却する。 
判定の要旨  0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
1300 転勤・配転
3600 処分の差別
会社が、職場離脱を理由に書記長を配転したことは、同人の職場は定められた時間以外にも班長らが適宜休憩時間を与えていたこと、同じ時期に職場離脱して仮眠した者が懲戒処分も配転もされていないこと等からみて、失当である。

1400 制裁処分
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
会社が、職場離脱を理由に書記長を出勤停止処分に付したことは、同人が始末書を提出してから2ヶ月後に処分を決定していること、その間において同人が不当労働行為の救済申立てをしていること等から、同人の職場離脱が処分の真の理由であったとは措信し難い。

1400 制裁処分
会社が、勤務終了後の集会開催、職長らに対する言動等を理由に書記長を出勤停止処分に付したことは、集会をしたことは認められないこと、職長らに対する言動が職場を混乱させたとは認め難いこと、他従業員の就労の妨害になったとはいえないことから、不当である。

1400 制裁処分
資料紛失を理由に書記長を減給処分に付したことは、資料を無断で持ち出したものではなく、指導員から渡されたものであること、委員と関係者以外には見せてはならないものとは知る由もなかったこと、班長とともに捜していることなどからみて、不当であるといわざるを得ない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2624 組合人事への干渉
3410 職制上の地位にある者の言動
労務課長代理が、書記長に対し、組合での行き方を批判し、書記長から身を引くよう慫慂したことは、明らかに地位職責上当然使用者の行為とされる者が書記長辞任を慫慂したものと見るべきであり、労組法7条3号に該当する不当労働行為である。

3700 使用者の認識・嫌悪
会社は、被処分者は活発な組合活動をしていたわけではないと主張するが書記長になった後、組合大会内容の報告、公私傷問題、組合のあり方の説明、機関紙の発行等活発な組合活動を行なっていたことが認められる。

業種・規模  運輸に附帯するサービス業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集51集175頁 
評釈等情報  労働判例 1973.12.15  187号 82頁 

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