概要情報
事件名 |
コクヨ |
事件番号 |
大阪地労委昭和47年(不)第20号
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申立人 |
X1 |
被申立人 |
コクヨ 株式会社 |
命令年月日 |
昭和48年 8月21日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
解雇係争中の成績査定はできないとして、被解雇者の復職後の賃金決定、昇格を不利益に扱い、単純作業へ配転し、年次有給休暇を与えなかった事件で、賃金の是正、差額支払、技手補への昇格、年次有給休暇の付与等を命じ、ポストノーティスは棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、昭和46年4月以降の申立人の賃金を、被申立人が雇用する、年令、勤続年数等において申立人と同等の条件にある者の平均額と同一に定め、既に支給した金額(一時金を含む)との差額を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人を技手補に昇格させるとともに、その職務手当を昭和46年4月にさかのぼって支給しなければならない。 3 被申立人は、昭和46年4月以降、申立人が入社以来継続して勤務していたものとして計算した日数の年次有給休暇を申立人に与えなけらばならない。 4 被申立人は、申立人に、自動機操作のため必要な技術教育をすみやかに施し、自動機に配置しなければならない。 5 その他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
会社が、解雇取消しによる復職後の賃金決定に際して、裁判期間中の成績を零査定としたことは、解雇取消しにより本人の責に帰すべき休職期間と同一視できないこと、当事者で協議のうえ決めるとか、同等の条件にある者の平均額を採用するとかの措置も考えられることから、合理性を認めることはできず、明らかに不利益扱いである。
1302 就業上の差別
1602 精神・生活上の不利益
会社が、X1の復職について一方的に職種を変更し、単純作業に配置したことは、X1の解雇に工程の自動化がすすみ、同人の技能、経験を活かし得ない状況にあったとしても、会社は再教育等の措置を講じ、従前とほぼ同じ仕事を与えるべきであるか、明らかに職務上、精神上の不利益扱いにあたる。
1200 降格・不昇格
会社が、能力評価が不可能であることを理由にX1の技手補昇格を拒否したことは、X1に対する解雇は取消されていること、同人は普通程度の能力を有していると評価されることなど復職の時点で昇格の要件を備えている以上、職務上、経済上の不利益取扱いである。
1600 休暇の取扱い
労基法第39条第1項の年次休暇請求権発生の要件を満たしていないとして年次有給休暇を与えなかったことは、裁判期間中の労働日が零であってもその責任は会社にあるというべきことから、同人に対する不利益取扱いにあたるといわざるを得ない。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集51集119頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1973.11.15 185号 88頁 
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