労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  圓井製作所 
事件番号  大阪地労委昭和46年(不)第52号 
大阪地労委昭和47年(不)第9号 
大阪地労委昭和47年(不)第41号 
申立人  全大阪金属産業労働組合 
被申立人  株式会社 圓井製作所 
命令年月日  昭和48年 7月23日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社側が賃上げ等の問題について組合と誠意ある団交を行なわず、組合員を低く査定し、また労委に証人等として出頭する組合員に対し不利益を与えた事件で、再査定の実施、ポスト・ノーティス等を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合圓井製作所分会の分会員に対し、昭和46年の賃上げ額を下記(1)および(2)により是正し、すでに支給した額との差額を支払わなければならない。
                記
(1) 被申立人は、分会員の人事考課による査定ランクを分会員が属する級の非組合の平均評価ランクに是正し、昇給額を引き上げること。
(2) 被申立人は、非組合員に支給した特別考課金額の平均額を算出し、分会員の特別考課金額とすること

2 被申立人は、分会員に対し、昭和46年夏期一時金および同年年末一時金について、昭和46年の賃上げ額の是正に際して行なったと同様の操作により、分会員の人事考課にかかる得点および特別考課金額を是正し、すでに支給した額との差額を支払わなければならない。
3 被申立人は、昭和45年(不)第38号・同年(不)第72号・46年(不)第1号併合事件、昭和46年(不)第52号・47年(不)第9号・同年(不)第41号併合事件および中央労働委員会昭和46年(不)第69号事件の審問に、申立人申請の証人として出頭した分会員に対し、次のとおり措置しなければならない。
(1) 昭和46年以降の賃上げおよび一時金の各考課査定における出勤考課に関し、審問当日の取扱いを被申立人申請の証人として出頭した従業員と同様の取扱いに是正して、差額賃金相当額を支給すること
(2) 昭和46年6月8日以降、上記各事件に申立人申請の証人として出頭した分会員に対し、控除した当日の賃金相当額を支給すること
4 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、本社正門付近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
                記
                       年 月 日
 全大阪金属産業労働組合 執行委員長 X1 殿
 同労働組合円井製作所分会 分 会 長 X2 殿
    株式会社 圓井製作所 代表取締役 Y1
 当社は、貴組合および貴分会に対し、下記の行為を行ないましたが、これらの行為は労働組合法第7条第1号、第2号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝いたしますとともに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
                記
1 昭和46年の賃上げ、夏期一時金および年末一時金をめぐる団体交渉に誠意をもって応じようとせず、かつ、貴分会の分会員を不当に低く考課査定したこと
2 貴分会の分会員が、地方労働委員会および中央労働委員会に係属した不当労働行為救済申立事件の審問に、証人として出頭したことを理由として考課査定上不利益に取り扱ったこと
 以上、大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。
5 申立人のその他の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  0125 組織・職場活動(含証人の行為)
組合側の補佐人は、組合の団結権の擁護を目的として、組合のために陳述等も行なう者であるから、組合員が補佐人としてその任に当る場合は、その行為は組合活動の範囲に属するということができる。

0125 組織・職場活動(含証人の行為)
証人は、不当労働行為救済申立事件をめぐる真実を発見するために委員会が出頭を求めて取り調べを行なうものであるから、その行為は公の職務を執行するものというべきであり、組合活動にあたらないことはいうまでもない。

1202 考課査定による差別
2900 非組合員の優遇
組合員全員を低く査定したことについて合理的な理由もないこと、日常、組合活動を嫌悪した態度を示していること等を考えると、恣意的な査定により組合員を不当に差別し、もって組合組織の弱体化を企図したものと考えざるを得ない。

1203 その他給与決定上の取扱い
2900 非組合員の優遇
3301 不当労働行為とされなかった例
組合側の補佐人として行なう行為が組合活動であるといえる以上、組合員が組合側の補佐人として審問に出頭した際に欠勤等の扱いにし、会社側の補佐人として出頭した従業員と異なる取扱いをしたとしても、不当であるとはいえない。

1203 その他給与決定上の取扱い
2900 非組合員の優遇
3300 不当労働行為とされた例
証人としての行為は公の職務の執行であるから、組合側申請に基づく証人として組合員が審問に出頭する場合にも会社側申請の証人と同じ取扱いをなすべきであるところ、本件のように両者の取扱いを異にした会社の措置は、組合員の故の不利益扱いであり、また組合活動の阻害を企図してなされた支配介入行為といわざるを得ない。

2240 説明・説得の程度
2251 一方的決定・実施
団体交渉においては使用者は、組合の要求に対して回答を示すだけでなく、資料の提供等によって回答額を算出したいきさつなども誠意をもって説明し、組合の納得を得る努力を行なうべきであることを考えると、基礎資料等を全く示さず、組合と妥結しない間に一方的に賃上げ等を実施するような使用者側の態度は実質的には団交拒否にあたるといわざるを得ない。

4505 その他
団交拒否に対する救済としてポストノーティスを命じた例。

業種・規模  精密機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集51集78頁 
評釈等情報   

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