概要情報
事件名 |
宇治病院 |
事件番号 |
京都地労委昭和44年(不)第17号
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申立人 |
京都医療労働組合 |
被申立人 |
社会福祉法人 宇治病院 |
命令年月日 |
昭和48年 6月15日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、就業規則を大幅に改訂し、これについての団交を拒否した事件で、団交拒否が組合への支配介入であるとして、支配介入の禁止と、ポスト・ノーティスを命じ、他は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人に対し、就業規則の変更に関する事項を交渉事項とする団体交渉を拒否するような方法で、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、つぎの内容の文書を申立人に提出するとともに、同内容の文章を縦1メートル、横 1.5メートルの大きさの模造紙に墨書して、命令交付の日から10日間、被申立人社会福祉法人宇治病院の食堂内病院掲示板に掲示しなければならない。 記 病院が、貴組合からの就業規則の変更についての昭和43年1月の団体交渉の申入れを拒否したこと、および昭和44年7月の同規則変更時においても団体交渉をしない態度をとり続け、もって貴組合の団体交渉権を否定することにより、貴組合の運営に支配介入したことは、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。 以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約いたします。 昭和 年 月 日 京都医療労働組合 組合長 X1 殿 社会福祉法人宇治病院 理事長 Y1 3 申立人のその余の請求を棄却する。 |
判定の要旨 |
2302 労務管理・労使関係
病院が、就業規則の制定権は使用者にあるという理由で、その変更についての団交を拒否したことは、就業規則の変更が労働者の労働条件に影響を及ぼすものである限り労働組合は団交権を有するものであることから、正当とはいえない。
3106 その他の行為
本件就業規則の改訂は、その第1次修正案が組合の結成前に作成されており、その後の修正案も文句の修正にとどまり第1次案と基本的に異ならないことからみて、組合結成を契機としてその活動を規制するためであったとみることは困難である。
2900 非組合員の優遇
3106 その他の行為
就業規則は組合員、非組合員を問わず全従業員各人に画一的に適用されるものであり、特に組合員を差別し、あるいは組合活動を規制するような特別な条項がなければ、就業規則自体をとらえて組合員に対する不利益扱いとはいえず、組合の主張は容認できない。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
就業規則に関する団交拒否は不当労働行為と認められるが、就業規則が制定されているので団交の目的を失うに至ったものと認められるから、少くとも団交応諾に関する救済の利益を喪失したものといわざるを得ない。
4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
組合の団交拒否についての労組法第7条3号の救済申立ては、団交拒否が団結権侵害の一態様であり、もって組合の運営に支配介入したものと解するのが相当であることから、これを容認する。
5201 継続する行為
就業規則の改訂について、44年に団交を申入れていなくても、43年の申入れを病院が拒否し、44年にもこの態度に変りがないことを一時金団交の席上明らかにしていることから、病院の44年の団交拒否は43年の団交拒否と継続する行為というべきである。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集50集402頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 昭和48年12月10日 832号 
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