労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  松田産業 
事件番号  東京地労委昭和47年(不)第9号 
申立人  総評全国一般労働組合東京地方本部 
申立人  X1他1名 
被申立人  松田産業 株式会社 
命令年月日  昭和48年 6月 5日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、組合員の父兄等に対して、組合からの脱退を暗示した手紙を出し、また、分会活動家X1を配転、X2を出勤停止処分にし、組合員のみに被服を支給しなかったことをめぐる事件で、X1の原職復帰X2の出勤停止処分取消し、バックペイ、支配介入禁止、被服の支給を命じた。 
命令主文  1 被申立人松田産業株式会社は、申立人X1を、昭和46年11月16日当時の原職に復帰させなければならない。
2 被申立人会社は、申立人X2に対する、昭和47年2月1日から同月3日までの出勤停止処分を撤回し、同人にその間の賃金相当額を支払わなければならない。
3 被申立人会社は、申立人総評全国一般労働組合東京地方本部の組合員の父兄並びに保証人に対し、組合員の組合活動に関する文書を送付して、組合員を分会から脱退させるよう暗示してはならない。
4 被申立人会社は、昭和47年1月15日ごろ、申立人組合の松田産業分会の分会員を除く全従業員に支給した背広と同程度の背広を、分会員に対して支給しなければならない。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
3700 使用者の認識・嫌悪
組合役員X1の配転は、同人が大学卒で専ら経理業務に従事してきたにもかかわらず、東京営業所へ配転した後は専ら肉体労働に従事させていることからみて、X1が組合活動をしたことに対するみせしめ的行為であって、同人を不利益に取り扱った不当労働行為である。

1400 制裁処分
組合員X2の出勤停止処分の理由とされている業務上の事故などは、いずれも些細なもので、他の例からみても合理性がなく、一方、組合結成以来の会社の組合に対する態度を合せ考えると、本件処分も、業務上の事故を名目とした不当労働行為と認められる。

1601 福利厚生上の差別
被服支給に関する組合間の差別扱いについて会社は、別組合との協定に基づくというが、従来この種の支給が例年行なわれていたこと、別組合員だけでなく管理、監督の地位にある者にも支給していることからみて、会社の主張は採用できない。

2621 個別的示唆・説得・非難等
会社が、組合員の父兄などに出した手紙は前後の事情からみて、従業員の組合加入、組合活動の事実を通知したに止まらず、これにより父兄らが組合活動に何らかの働きかけをすることを期待してなしたもので、組合の運営に対する支配介入に該当する。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集50集338頁 
評釈等情報   

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