概要情報
事件名 |
読売テレビ放送 |
事件番号 |
大阪地労委昭和46年(不)第28号
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申立人 |
民放労連読売テレビ放送労働組合 |
被申立人 |
読売テレビ放送 株式会社 |
命令年月日 |
昭和48年 5月 8日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合のピケによるテレビ放送業務妨害を違法な争議行為であるとして組合幹部を懲戒処分にし、損害賠償の訴えを提起した事件で、処分の取消、バック・ペイおよび損害賠償の訴え提起を含めたポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、昭和46年5月27日づけの申立人組合員のX1、X2、X3およびX4に対する休職3週間ならびにX5、X6、X7、X8、X9およびX10に対する出勤停止3日間の各処分がなかったものとして取り扱い、同処分により同人らが失なった賃金相当額をそれぞれ支払わなければならない。 2 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に、下記のとおり墨書して、本社正面玄関付近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。 記 年 月 日 民放労連読売テレビ放送労働組合 執行委員長 X1 殿 読売テレビ放送株式会社 代表取締役 Y1 当社は、貴組合および貴組合員に対し下記の行為を行ないましたが、これらの行為は労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝いたします。 記 1 昭和46年5月27日づけで貴組合の執行委員長X1氏、副執行委員長X2氏、書記長X3氏および副書記長X4氏に対し休職3週間、執行委員X5氏、同X7氏、同X9氏、同X6氏、同X8氏およびX10氏に対し出勤停止3日間の各処分を行なったこと 2 昭和46年4月30日の争議行為に関して貴組合に対し損害賠償を請求したこと以上、大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。 |
判定の要旨 |
0414 ピケッティング
1400 制裁処分
本件ピケにより結果的に予定番組の放送が不能となっているが、これは職制が組合員との紛争を恐れてビデオテープの取出しを断念したことによるもので、ピケそのものは脅迫的言辞や手でおし返えすような行為はなく、あくまで平穏な滞留状態の中で行なわれているので、正当な争議行為であると認められ、したがって、これを理由とする懲戒処分は、不当労働行為である。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
違法ピケを理由とする懲戒処分は、争議中に会社が、操業態勢を確立して争議効果を減殺したり、妥結月実施を前面に出して会社回答による妥結を迫るなど組合を窮地に追い込んでいることからみて、組合の弱体化を企図した支配介入にも該当するといわざるを得ない。
3106 その他の行為
会社が、組合を対象に違法ピケに対する損害賠償の訴えを提起したことは、懲戒処分の真の意図、機関紙に損害賠償の請求は個々の従業員を対象にすることもあるとの記事を載せていることからみて、処分に加えてより以上の組合員の心理的動揺をさそい、組合を弱体化することにあったと解される。
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業種・規模 |
放送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集50集203頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 小林勤武 1973. 8.10 838号 48頁 
労働法律旬報 1973. 8.10 838号 54頁 
労働経済判例速報 阪口春男 昭和48年 6月10日 815号(24巻16号) 12頁 
労働判例 1973. 8. 1 178号 80頁 
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