労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  報知印刷 
事件番号  東京地労委昭和45年(不)第87号 
申立人  日本新聞労働組合連合 
申立人  報知印刷労働組合 
申立人  X1 ほか29名 
被申立人  報知印刷 株式会社 
命令年月日  昭和48年 5月 1日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  争議終結後、争議中の違法行為に対する責任追及として31名の組合員を処分した事件で、17名の処分撤回、原職復帰、バックペイ及び誓約文の掲示を命じ、他は棄却した。 
命令主文  1 被申立人報知印刷株式会社は、申立人X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17らに対して、次の措置を含め、懲戒処分を行なわなかったと同様に取扱わなければならない。
(1) 昭和45年10月31日付懲戒処分を同日に遡って撤回すること。
(2) 懲戒解雇された者を、処分前の原職に復帰させること。
(3) 懲戒処分がなされなかったとすれば受けるはずであった給与相当額を支払うこと。
2 被申立人会社は、下記の文言を縦1メートル、横2メートルの白紙に明瞭に墨書し、報知新聞社東京本社社屋玄関付近の従業員の見易い場所に1週間掲示しなければならない。
              記
 当社が、貴組合員X1氏ら17名に対して行なった昭和45年10月31日付懲戒処分は不当労働行為に該当すると、東京都地方労働委員会において認定されました。今後このような方法で貴組合の運営に介入いたしません。
 同労働委員会の命令によってこの掲示をいたします。
    昭和 年 月 日
             報知印刷株式会社
               代表取締役 Y1
    報知印刷労働組合
      執行委員長   X11 殿
    日本新聞労働組合連合
      中央執行委員長 X18 殿
    (注 年月日は文書を掲示した日を記載すること。)
3 被申立人会社は、すみやかに文書で本命令の履行状況を、当委員会に報告しなければならない。
4 X19、X20、X21、X22、X23、X24、X25、X26、X27、X28、X29、X30、X31、X32に関する申立を棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
組合の教宣活動中には、表現に不当なものもあるが、激しい労使対立の中で、既に他社争議でも使われた誇張的表現を借りたものであったり、社長の攻撃も労務政策を批判したものであること、他方会社側も対抗的に極端な表現を使っていること、双方とも既に相互に遺憾の意を表し合っていること等を総合すれば、多くの行きすぎはあったにしても、正当な組合活動である。

0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
1400 制裁処分
組合活動の動機や誘因が正しくても、どのような行動をも正当化するとはいい難く、団体交渉など労使の合意する手続きによって処理すべきことを、職場内で部長を取り囲んで詰問、非難して回答を迫ったり、就労中の組合脱退者に対して罵声をあびせたことなどは、その頻度、やり方からみて、これを理由とする懲戒処分が合理性がないとは断定できない。

0204 団交・争議に付随する行為
0206 他組合の争議支援
組合員が争議中に組合を脱退した者の自宅を訪ねて出社しないように説得したことは好ましくないが、説得は平穏裡になされたもので就労妨害とはいえず、他の従業員への説得も人数、態度、言葉づかい等からみて、程度を超えたものではなく、正当な組合活動である。

0414 ピケッティング
0419 ロックアウトとの関連
デモ隊の一部が新聞輸送用トラックの出荷を阻止したため新聞発送が遅れたことは認められるが、誰が阻止したのか、運転手が組合の説得に応じて下車したためなのか、また、ロック・アウト中でもあり発送者の人手不足や不慣れによる疑いもあるし、したがって遅延の全責任を組合に帰すことは当をえない。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集50集172頁 
評釈等情報   

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