概要情報
事件名 |
西日本新聞社 |
事件番号 |
福岡地労委昭和40年(不)第15号
福岡地労委昭和40年(不)第16号
|
申立人 |
西日本新聞労働組合 |
申立人 |
総評・全国一般労働組合福岡地方本部福岡支部 |
被申立人 |
株式会社 西日本新聞社 |
命令年月日 |
昭和48年 4月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
長期争議中における教宣活動、職場闘争、ピケ等につき、幹部責任、個別行為責任が問われた事件で原職復帰、バックペイ、支配介入禁止を命じ、暴力行使営業妨害関係該当者等については棄却した。 |
命令主文 |
1 会社は、昭和40年3月17日付で、X1、X2、X3、X4に対してなした懲戒解雇の処分を取消し、原職に復帰させなければならない。その間、処分がなければ同人等が得たであろう賃金等を支払わなければならない。 2 会社は、昭和40年 1月28日付で、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18に対してなした懲戒休職3カ月の処分と原興次に対してなした懲戒休職2カ月の処分を取消し、その処分がなければ同人等が得たであろう賃金等を支払わなければならない。 3 会社は、昭和39年12月5日付で、X19、X20に対してなした懲戒休職3カ月ならびに、昭和40年3月17日付で同両名に対してなした懲戒解雇の処分を取消し、原職に復帰させなければならない。その間、処分がなければ同人等が得たであろう賃金等を支払わなければならない。 4 会社は、昭和39年12月5日付でX21に対してなした懲戒休職3カ月の処分を取消し、その処分がなければ得たであろう賃金等を支払わなければならない。 5 会社は、西労組合員に対し、職制をして、家庭訪問等をさせ、西労からの脱退を勧誘させて、西労の組合運営に支配介入をしてはならない。 6 会社は、総評全国一般労組福岡地方本部福岡支部西日本新聞分会の組合員に対し、職制をして、組合からの脱退を勧誘させ、同組合の組合運営に支配介入をしてはならない。 7 その余の救済請求は、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
休憩時間以外である準備作業中の教宣活動は、慣行上の権利として強行しうるものでなく、また、失効中とはいえ、その精神尊重を約束している協約でも、就業時間外にすることとされているから、会社が作業員以外立入禁止した場所で、休憩時間以外の時間になした組合の教宣活動は正当でない。
0204 団交・争議に付随する行為
長期紛争中、殆んど連日職制に対し諸種の問題について不満を訴え、屡々押問答し、いろいろ執拗にくってかかったりしたことは、概ね休憩時間中のことであり、その程度も職場秩序違反とまでは論断しえず、かつ、職制側にも落度があるので、職場秩序違反とまではいえない。
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
0419 ロックアウトとの関連
1400 制裁処分
就業時間中の教宣活動は正当とはいえないが、短時間のことであり、また、別組合には許したことがあること、さらに、これに対しその後ロックアウトをもって対抗したのであるから、もはや懲戒処分の理由とすることは妥当でない。
0202 会社施設の利用
0419 ロックアウトとの関連
ロック・アウト中、組合員が食堂や診療所に立入ろうとしたことについては、同人らも従業員であり、また、ロック・アウトにより食堂や診療所への立入りを禁止した会社の行為自体が行き過ぎであるから、違法不当の行為とはいえない。
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
X24が、自分が貼ったステッカーを職制が次々に剥がしたことに対し抗議したのを、職制が無視したからといって、暴力をふるい、これを傷害したことは、組合活動として正当でない。
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
0209 会社役員宅等への抗議行動
上司職制が組合切崩工作をしていることに憤慨した心情は理解するが、だからといって、上司職制の私宅に深夜集団で押しかけ、外に呼び出し、家族の面前で集団暴行を加えたことは、当時の労使関係等如何なる事情を考慮しても、正当な組合活動であるとは認められない。
0416 暴力の行使等
長期ロック・アウトが行なわれ、その間使用者側に責められるべき行為があったのであるから、組合が坐り込んで出荷阻止をしたことは理解できるが、実力をもって出荷を阻止したことは、それらの事情を考慮してもなおかつ、これを適法と認めることはできない。
0417 法令・協約・信義則違反
0421 幹部責任
実力による出荷阻止は違法であるが、これは共闘会議の決定によりなされたものであるから、組合幹部の誰が共闘会議の幹部なのか、共闘会議での出荷拒否決定の経緯はどうか、違法な出荷阻止行為実施中、その者が現場に居たか否か等が全く分らないのに、単に組合の幹部、闘争委員会の幹部というだけで、責任を負わせることはできない。
0414 ピケッティング
0422 実行行為者の責任
闘争委員会の計画によって他組合員の就労妨害行為がなされたとしても平和的説得の域をでないので懲戒の対象とすることは相当でなく、また、就労妨害行為中のトラブル等についても、その程度、経緯等を考えると、これらの行為についても、組合闘争委員会の責任を問うわけにはいかない。
0200 宣伝活動
0421 幹部責任
X22らによるステッカー貼付は、場所、数量からみて正当とはいえないが、職制の剥ぎ取りで大きな影響がなかったこと、貼付行為が組合幹部の計画通りであったか推認しえないこと等からみて、貼付現場に居合せなかった組合幹部に、違法貼付行為を阻止しなかった責任を負わすことはできない。
0204 団交・争議に付随する行為
0421 幹部責任
X23がした取材妨害行為は重大であるが、このような行為が、当日のデモ行為計画等に含まれていたとは認め難いこと、当該行為が偶発的一瞬の行為であることからみて、組合幹部が現場に居合わせたとしても、X23の行為を阻止しなかった責任を問うことは困難である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
多数の管理職が、多数回にわたり、両組合員に対し、組合からの脱退を説得したことは、会社の意思に基づくものと認めるのが相当である。
|
業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集50集83頁 |
評釈等情報 |
 
|