概要情報
事件名 |
城西病院 |
事件番号 |
徳島地労委昭和47年(不)第6号
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申立人 |
総評全国一般労働組合徳島地方本部 |
被申立人 |
医療法人 睦み会 城西病院 |
命令年月日 |
昭和48年 4月 3日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
組合員らに脱退を勧奨したり、組合員の親が営む米穀店との取引を中止した事件で、ポスト・ノーティスを命じ、取引再開等については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、本命令書交付の日から7日以内に、下記陳謝文を縦1メートル、横1.5 メートルの白紙に墨書して、病院内の従業員が見易い場所に1週間掲示しなければならない。 2 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 記 総評全国一般労働組合徳島地方本部 執行委員長 X1 殿 医療法人睦み会城西病院 理事長 Y1 病院は従業員X2をして組合員X3等多数に組合脱退を慫慂したことおよびX4の実母とその夫が営む林米穀店との米の取引を中止したことにより上記組合員らの組合活動を抑制したことが、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝します。 |
判定の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2700 威嚇・暴力行為
理事長のあいさつは、現代の労使の考え方、活動の一般論、組合の交渉方法等を述べたもので、その中に組合本部に依存する支部の運営をやや批判する言辞も一部あるが、総体的には、威嚇的・強制・利益誘導的で組合運営の自主性を阻害する言辞であったとは認め難い。
2610 職制上の地位にある者の言動
Y2婦長の言動は、交通事故による怪我が直って出勤してみると、X3とX2とがどうとかいうことであったのでその経緯を聞いただけであって、他に同人に意図的言動があったとの疎明もないから、この程度のY2婦長の言動をもって組合への団結権侵害行為とは認め難い。
1602 精神・生活上の不利益
3102 争議対抗手段
3700 使用者の認識・嫌悪
ストに入った後、病院が組合員の親が経営している米穀店との取引を中止したのは、常務の忘年会やその後の当該組合員に対する言辞及び取引中止の電話内容等を併せ考えると、結局、当該組合員らの組合活動を抑制するために行なったものと思料せざるを得ず、不当労働行為である。
2611 その他の従業員の言動
2623 脱退届け作成・提出強要
3411 その他の従業員の言動
X2がX3に組合脱退届の案文を渡して組合脱退を慫慂した事実、X2が病院理事長の姪であること、病院が理事長ら同族に支配されていることおよびX2の行為は組合員からの依頼もないのになされたこと等を総合すれば、X2が病院の意を体して行なったものと推認するに難くない。
2611 その他の従業員の言動
2623 脱退届け作成・提出強要
3411 その他の従業員の言動
看護婦の多数が脱退したのは、その時期が、理事長の姪であるX2が組合員X3に組合脱退を慫慂した時期と同時期であった事実からみて、X2が病院の意を受けて慫慂した結果によるものと推認するに難くない。
4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
5005 損害賠償の請求
組合は、米の取引再開、損害補償を求める申立てを行なっているが、本件のような病院が組合員の親族の営む米穀店との取引を中止したことが組合の団結権を侵害するという特異事案については、主文のような陳謝文の掲示をもって足り、組合申立てのような救済を命ずるのは妥当でない。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集50集31頁 |
評釈等情報 |
 
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