労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東タクシー 
事件番号  大分地労委昭和46年(不)第2号 
申立人  大分県自動車交通労働組合 
被申立人  東タクシー 株式会社 
命令年月日  昭和48年 3月31日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  勤務成績不良を理由とする組合員の解雇、上司反抗、不正行為摘発、組合用務のための年休、欠勤等を理由とする乗務停止処分、賞与の減額支給等をめぐる事件で、解雇、譴責処分の撤回バックペイ、共済会、忘年会の組合間差別扱いの禁止を命じ、他は棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合の組合員に対し、共済会、忘年会などから除外する等の差別取扱いを行なってはならない。
2 被申立人は、昭和45年10月1日ならびに10月2日に行なった申立人組合の組合員X1、X2の2名に対する譴責処分を撤回し、各人が自宅待機の日から出勤に至るまでの間に受けるはずであった諸給与相当額を支払わなければならない。
3 被申立人は、X1を解雇時の原職に復帰させ、解雇の日から原職復帰に至るまでの間に同人が受けるはずであった諸給与相当額を支払わなければならない。
4 申立人のその余の申立てはこれを棄却する。 
判定の要旨  1400 制裁処分
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
監督官庁に会社の不正行為を告発したことを理由に組合員を出勤停止処分に付したことは、同人の発言が虚偽の申告とは認められないこと、本人に弁明の機会を与えることなく処分に付したことからみて、同人の行動に対する報復措置としてなされた不当労働行為といわざるを得ない。

1600 休暇の取扱い
組合用務のため不承認の年休を強行したことを理由に組合員3名をけん責処分に付したことは、適切な年休・欠勤届を不承認としたことに正当な理由が存しないことからみて、同人らの組合活動を嫌悪してなした不当労働行為といわざるをえない。

0500 勤務成績不良
合同労組員X1の解雇理由としてあげている車の破損は、同人の故意ないし過失によるものと認めるだけの証拠がなく、一方、事故発生後急いで解雇していることからみて、事故発生を奇貨として分会の中心人物である同人を企業から排除しようとしたものと認められる。

0500 勤務成績不良
前記X1の解雇理由としている出勤成績不良についても、分会を結成した1ヵ月だけの出勤状況を問題にしており、失当である。

1400 制裁処分
組合員2名に対する懲罰制度による賞与の減額支給は、組合員らが懲戒処分を受けたことに起因することが明らかであり、別組合員も本制度の適用を受けて減額されている以上、差別待遇であるとは認められない。

1201 支払い遅延・給付差別
1400 制裁処分
組合員X3に対する懲罰制度による賞与の減額支給は、同人の減点理由、勤務評定の内容について何ら立証がなされておらず、差別待遇による分会弱体化を意図した不当労働行為であると判断せざるを得ない。

1401 労務の受領拒否
会社が、始末書の提出拒否を理由に組合員3名を乗務停止処分に付したことは、始末書提出の原因であるけん責処分が不当である以上、組合が始末書の提出拒否をしたことは当然であり、分会弾圧を意図した不当労働行為であると推認せざるを得ない。

1400 制裁処分
3600 処分の差別
会社が、上司反抗を理由に組合員を出勤停止処分に付したことは、事実関係が不明確であるにもかかわらず処分を強行していることからみて、分会の壊滅を狙った不当労働行為と推認せざるを得ない。

1601 福利厚生上の差別
会社が、別組合を結成した組合員を共済会および忘年会から排除したことは別組合を結成した組合から同会脱退の申出がない以上会員として扱うのが会設立目的からして当然であることからみて、分会の弱体化を図った不当労働行為である。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
組合員X3に関するけん責・出勤停止処分などについての救済は、同人が退職願に請求権利を放棄する旨付記しているところから、すべて棄却する。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集49集183頁 
評釈等情報   

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