概要情報
事件名 |
石井産業 |
事件番号 |
山形地労委昭和47年(不)第2号
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申立人 |
石井産業労働組合 |
被申立人 |
石井産業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和48年 3月12日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
別組合結成援助、自宅訪問による脱退強要、社長訓辞による組合切崩し、工場長の組合員集会での発言および団交拒否をめぐる事件で、自宅訪問による脱退強要、工場長の言動を支配介入と認め、支配介入の禁止、陳謝文の手交・掲示を命じ他は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人の組合員に対し、組合脱退を示唆しまたは強要するなど、申立人組合の組織および運営に介入してはならない。 2 被申立人は、この命令交付の日から7日以内に下記の誓約書を申立人組合に手交するとともに、縦1メートル、横1.3 メートルの板面に明瞭に墨書して被申立人会社の本社工場、鶴岡工場および温海工場の従業員入口の見やすい場所に10日間掲示し、責任をもって存置しなければならない。 誓 約 書 会社が、貴組合の組合員に対し、組合からの脱退を強要したことおよび鶴岡工場組合員の大量脱退に関与したことは労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為をくりかえさないことを誓います。 昭和 年 月 日 石井産業株式会社 代表取締役 Y1 石井産業労働組合 執行委員長 X1 殿 3 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2250 未妥結・打切り・決裂
申立人は、被申立人が賃上げの団交に応じなかったと主張するが、団交は開催されており、賃上げ問題が何ら進展しなかったとはいえ、これをもって実質的な団交の拒否であるとすることはできない。
2500 別組合の結成・援助
3410 職制上の地位にある者の言動
鶴岡地区同盟が会社内に組合結成を計画したとは、地区同盟幹部と連絡をとっていた従業員X1らを含めて会社と通謀していたとは認められないこと、準備行為が申立人組合結成前から行われていたこと、社長が地区同盟議長から労働組合に対する考え方をたしなめられていることなどからみて、会社の意思によるものとは認められない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
社長が工場長の補佐的職務をしている組合役員宅を訪れ、「職務上の立場と一致するのか」といったことは、間接的に組合脱退を示唆したものと認められ、会社がこのような職務にある者を一方的に利益代表者ときめつけ、直接組合脱退を求めることは支配介入といわざるを得ない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
社長、部長が長期病気欠勤者の自宅を訪問したことは、同人らの病状把握と出勤時期の確認のためと認められるので、支配介入とは認められない。
2610 職制上の地位にある者の言動
組合結成直後になされた社長の訓示は、その内容が組合員と非組合員との不和を指摘し、これに起因する生産能力減少の事態に対して社長としての考えを述べ、従業員に注意を喚起したものであり、支配介入と認めることはできない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
工場長が、組合役員X2に頼まれたとはいえ、組合員集会に出席して、X2の脱退を伝え、他の組合員も脱退した方がよいなど発言したことは、組合の組織および運営に干渉した支配介入と言わざるを得ない。
3800 行為の結果・その他
支配介入は、当該行為が不当労働行為の性格を有すれば足り、その行為の結果を問うものではないから、組合脱退者が自主的に脱退したか、使用者の行為によったかを判断する必要はない。
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業種・規模 |
衣服・その他の繊維製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集49集155頁 |
評釈等情報 |
 
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