概要情報
事件名 |
水穂興業 |
事件番号 |
東京地労委昭和47年(不)第49号
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申立人 |
全日本運輸産業労働組合東京都連合会 |
申立人 |
全日本運輸産業労働組合東京都連合会水穂興業労働組合 |
被申立人 |
水穂興業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和48年 2月 6日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
組合結成に対する社長発言、組合員の正社員への切替え拒否、雇用形態に係る団交拒否等をめぐる事件で、正社員への切替え団交応諾、ポストノーティス等を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人水穂興業株式会社は、申立人全日本運輸産業労働組合東京都連合会、同全日本運輸産業労働組合東京都連合会・水穂興業労働組合が、昭和47年1月28日に要求した雇用形態にかかわりなく試用期間を2ヶ月以内とすることおよび臨時と正社員の労働条件同一化に関する問題について誠意をもって団体交渉に応じなければならない。 2 被申立人会社は、申立人水穂興業労働組合の組合員X1を、昭和47年3月18日付で正社員に切替え、同人が正社員であったならば受けるはずであった賃金とすでに支払いを受けた賃金との差額を支払わなければならない。 3 被申立人会社は、本命令交付の日から3日以内に縦70センチメートル、横1メートルの白木板に下記のとおり楷書で読みやすいように墨書し、本社事務所入口の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 貴組合員のX1を昭和47年3月18日付で正社員に切替えなかったこと、および組合からの雇用形態に関する要求についての団体交渉に誠意をもって応じなかったこと、ならびに組合結成当日の会社の言動は、東京都地方労働委員会において、いずれも不当労働行為と認定されました。今後このようなことのないよう留意します。 昭和 年 月 日 水穂興業株式会社 代表取締役 Y1 全日本運輸産業労働組合東京都連合会 執行委員長 X2 殿 全日本運輸産業労働組合東京都連合会 水穂興業労働組合 委 員 長 X3 殿 (年月日は掲示の日を記入すること) 4 その余の申立を棄却する。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
1603 組合活動上の不利益
2901 組合無視
第二組合に属する臨時社員4名を明確な基準も設けずに正社員に切り替えたにもかかわらず、第一組合員たるX1を正社員に切り替えなかったことは、会社側の第一組合に対する従前の態度等から判断すると、組合員であることを理由とする差別扱いであると認められる。
2301 人事事項
経営権の問題であるとして、正社員、臨時等の雇用形態の問題に関する要求について会社が団体交渉を行なわなかったことは、団体交渉の拒否にあたる。
2500 別組合の結成・援助
3410 職制上の地位にある者の言動
組合結成直後に非組合員が結成した第二組合は、その性格に疑問があるにしても、会社の命または援助を受けて結成されたと認められず、また同人が会社の利益を代表する者の範囲にあるとも認められないから、その結成行為は会社の行為であるとは認められない。
2500 別組合の結成・援助
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合結成当日朝の組合をつくるなら内部だけでやってほし旨の社長発言は事前に組合結成を知ったうえのものであったと認められ、その内容からみて、組合結成の自由、組合選択の自由に対する支配介入である。
2500 別組合の結成・援助
3411 その他の従業員の言動
非組合員が第二組合の結成を呼びかけたことは、同人が会社の命をうけて行動したとは認められず、また同人が会社の利益を代表する者の範囲にあると認めることもできないから、組合に対する支配介入とは認められない。
4407 バックペイの支払い方法
4409 有期・臨時雇用者の救済
4419 現存格差を一挙に是正した例
組合員であることを理由とする差別扱いに対する救済として、臨時たる身分を正社員に切り替え、賃金の差額を支払うよう命じた。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集49集76頁 |
評釈等情報 |
 
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