労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪機器製作所 
事件番号  大阪地労委昭和47年(不)第45号 
大阪地労委昭和47年(不)第53号 
申立人  全大阪金属産業労働組合 
被申立人  株式会社 大阪機器製作所 
命令年月日  昭和47年12月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  業務多忙を理由とする団交拒否、社長・工場長の反組合的言辞、分会員X1に対する会社負担の住宅権利金の一括返済請求・内職提供打切り、分会長らの解雇をめぐる事件で、分会長・分会員X2の原職復帰・バックペイ、分会長に対する内職差別に是正、団交開始、ポスト・ノーティスを命じ、他は棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、X3およびX2に対して、次の措置を含め、昭和47年6月29日づけおよび同年7月1日づけの解雇がそれぞれなされなかったものとして取扱わなければならない。
(1) 原職に復帰させること
(2) 解雇の日から原職復帰の日までの間に、同人らが受けるはずであった賃金相当額(大阪地方裁判所の決定によってすでに支払われた額を除く)を支払うこと
2 被申立人は、内職提供について、X3を他の従業員と同様に取扱わなければならない。
3 被申立人は、昭和47年5月22日づけの労働協約締結申入書および同日づけの要求書を議題とする団体交渉を誠意をもって行なわなければならない。
4 被申立人は、縦2メートル、横1メートルの白色木板に、下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社正門入口付近の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。
               記
                       年 月 日
 全大阪金属産業労働組合
     執行委員長 X4 殿
 全大阪金属産業労働組合
 大阪機器製作所分会
     分会長 X3 殿
             株式会社 大阪機器製作所
               代表取締役 Y1
 当社は、下記の行為を行ないましたが、これらの行為は労働組合法第7条第1号、第2号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに深く陳謝いたしますとともに今後このような行為を繰返さないことを確約します。
               記
1 X3氏とX2氏を解雇したこと
2 X3氏に対して、内職提供を打切ったこと
3 貴組合との団体交渉を正当な理由なく拒否したこと
4 貴分会員に対して、分会からの脱退をすすめたこと
以上、大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。
5 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0500 勤務成績不良
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社は、分会員X2の解雇理由として勤務状態不良、社長個人のプライバシー侵害をあげているが、審問の全過程に徴しても、勤務状態不良およびプライバシー侵害の事実が認められないことから、分会の中心的活動家である同人を解雇することで、分会の弱体化を企図したものと認めざるを得ない。

0900 不正行為
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社は、分会長X3の解雇理由として窃盗未遂、不良品製作をあげているが、前者は内職用材料を部長の許可を得て持帰ったものであり、後者は製品完成後に製作中止の指示がなされていることから、ともに解雇理由としては合理性がなく、分会長である同人を嫌悪してなしたものと認めざるを得ない。

1302 就業上の差別
3106 その他の行為
会社は、営業上の都合により内職提供を打切った旨主張するが、提供を打切ったのは分会長X3に対してのみであり、他の従業員には引き続き提供していることから、会社の前記主張は容認できず、分会組織の弱体化を企図して、分会長に経済的打撃を与えるためになしたものと認めざるを得ない。

2245 引き延ばし
組合が再三にわたり団交を申入れ、団交日についてもこれを変更するなど柔軟な態度を示しているにもかかわらず、業務多忙を理由に団交に応じじなかった会社の態度は、使用者としての義務を怠ったものというべく、不当労働行為といわざるを得ない。

2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
1カ月半の間に、分会員8名から2名に減少した事実と、この間、社長、工場長が分会員に分会を批判し脱退を慫慂していること、専務が分員員X1に退職か、会社負担の住宅権利金の一括返済かの二者択一を迫っていることを勘案すると会社は分会潰滅を企図したものと認めざるを得ない。

4000 退職金等の受領
会社は、分会長X3は解雇を承認して解雇予告手当を受領した旨主張するが、同人が同金員の受領に際して、解雇は不当であり解雇予告手当とは認められない、夏季一時金の一部として受領する、返済請求があれば返済する旨述べていることから、同人が解雇を承認したとは認められない。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
分会員X2に対する家賃等の会社負担の打切り通告撤回の請求については、さきに支配介入である旨判断したところであるが、同人がすでに退社し、分会をも脱退していることから、救済の必要は認めない。

5005 損害賠償の請求
組合は、内職打切りによって失った収入相当額の支給を請求しているが、内職打切りに伴う損害は別途取扱われるべきであって、不当労働行為救済の限度を超えるものと考えられる。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集48集346頁 
評釈等情報   

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