労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  石和タクシー 
事件番号  山梨地労委昭和47年(不)第3号 
申立人  全自交石和タクシー労働組合 
申立人  X1 
被申立人  石和タクシー 株式会社 
命令年月日  昭和47年12月27日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  始末書未提出を理由とする委員長の下車勤・解雇処分、組合員に対する新車割当て拒否・配車差別、非組合員による組合加入阻止工作をめぐる事件で、下車勤処分・解雇の取消し、原職復帰、バックペイ、差別扱い・組合加入阻止等の禁止を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X1に対し、昭和47年7月1日付で申し渡した解雇処分を取り消し、原職に復帰させ、7月1日以降原職復帰に至るまでの間に同人が受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人X1に対し、昭和47年6月8日付でなした乗車勤務拒否処分を取り消し、この処分がなかったならば6月30日までの間に、同人が受けるはずの賃金相当額から、既支給額を控除した額を支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人の組合員に対し、担当車両の割当て、配車、雑使役等について非組合員と差別をし、不利益な扱いをしてはならない。
4 被申立人は、申立人の組合員あるいは非組合員に対し利益を供与し、もしくはその他の言動をもって、組合からの脱退および退職を勧誘したり、あるいは組合加入を阻止するなどの方法をもって申立人組合の運営に支配介入してはならない。 
判定の要旨  1102 業務命令違反
委員長X1の解雇について、会社は合意による解雇である旨主張するが、本件解雇にいたるまでの労使間の交渉経過、同人が本件解雇をめぐって救済申立てをなしている事実から判断すると、合意による解雇とは認められず、同人の組合活動を嫌悪してなしたものと認めざるを得ない。

1302 就業上の差別
運転日報不記入に関する始末書未提出を理由に、委員長X1を下車勤処分に付したことは、エントツ行為を行なったY1に対する処分と比較して、著しく均衡を欠くものであること、従来日報不記入で処分をうけた者がいないことなどからみて、組合の指導的立場にある同人を嫌悪してなしたものと認められる。

1302 就業上の差別
従来の慣行を無視して、組合員を新車割当てから除外したことにつき、会社は経営方針の変更によるものである旨主張するが、これのみをもって、慣行を破る合理的な理由とは到底認められず、組合を嫌悪する会社が、組合員を差別するためなした不利益取扱いと認めざるを得ない。

1302 就業上の差別
会社は顧客から「腕章をしている人は困る」との注文があれば、腕章を着用する組合員を除いて配車せざるを得ない旨主張するが、会社がこのような事態を想定して組合員に告知すること自体不自然であり、また会社が潜在的に組合を嫌悪している事実から、組合員の差別を意識してなしたものと認められる。

1302 就業上の差別
組合員に便所等の掃除を命じた件については、掃除の分担、時間等につき非組合員との比較が困難であり、直ちに不利益取扱いとは認めがたいが、組合員に業務を除外してまで非組合員の担当車両の掃除を行なわせたことは、組合員に対する悪意に満ちた嫌がらせと認めざるを得ない。

2611 その他の従業員の言動
2625 非組合員化の言動
3411 その他の従業員の言動
非組合員Y1が、非組合員X2ら4名を飲食店Tに誘い、酒肴を提供して組合に加入しないよう要請したことは、会合費用は会社が負担したとの組合主張を、会社が否定していないこと、さきに認定した諸事実から判断すると、会社がY1をしてなさしめた支配介入と認めざるを得ない。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集48集318頁 
評釈等情報   

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