労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  第一工業製薬 
事件番号  京都地労委昭和43年(不)第3号 
申立人  第一工業製薬労働組合 
被申立人  第一工業製薬 株式会社 
命令年月日  昭和47年12月15日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社職制の申立て組合脱退、別組合加入勧誘、会社施設、就業時間中の組合活動、団交に関する組合間差別、上司に対する暴行を理由とする組合活動家の解雇をめぐる事件で、原職復帰、バックペイ、支配介入についての不作為、ポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、X1を原職に復帰させるとともに、昭和42年10月8日から原職復帰に至るまでの間、同人が受けるべきはずの諸給与相当額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人組合の組合員に対し、申立人組合よりの脱退を勧誘したり、第一工業製薬労働組合(昭和38年8月17日結成)への加入を強要することにより、また、就業時間中の組合活動ならびに会社施設の使用に関し、申立人組合と第一工業製薬労働組合(昭和38年8月17日結成)との間に差別ある取扱いをしたり、申立人組合京都工場支部との団体交渉を拒否することによって、申立人組合の運営に支配介入してはならない。
3 被申立人は、下記内容の文書を申立人に提出するとともに、同内容の文章を縦1メートル、横1.5 メートルの大きさの模造紙に墨書し、被申立人会社の本社、京都工場、大潟工場の各正門内の従業員が出退社のさいに見易い場所にそれぞれ10日間掲示しなければならない。
               記
 会社は、貴組合の組合員に対し、貴組合からの脱退を勧誘したり、第一工業製薬労働組合(昭和38年8月17日結成)への加入を強要したこと、また、就業時間中の組合活動および会社施設の使用に関し、貴組合に対して第一工業製薬労働組合(昭和38年8月17日結成)と差別ある取扱いをしたり、貴組合京都工場支部との団体交渉を拒否したことはいずれも貴組合への支配介入であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。
     年 月 日
     第一工業製薬労働組合
         執行委員長 X2殿
               第一工業製薬株式会社 
判定の要旨  0600 暴力行為
0700 職場規律違反
名札無着用、上司に対する暴行を理由とするX1の解雇は、名札着用が厳格でないこと、上司に対する暴行も、上司の挑発に起因するものであることから、X1のみを処分するのは妥当でなく、結局、旧組合に残留して活溌な組合活動を行なうX1を企業外に排除するためになしたものと認めざるを得ない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社職制が申立て組合からの脱退ないし別組合への加入を勧誘した行為は、認定した事実からいずれも各職制ないし会社関係者の独断でなしたものとは認められないことから、会社職制らが会社の意を体してなした不当労働行為といわざるを得ない。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
就業時間中の組合大会を、新労に認めて申立て組合には認めなかったのは、合理的な理由がないことからみて、申立て組合に対する差別取扱いと認めざるを得ない。

2901 組合無視
会社は、新労の食堂使用を許可し、旧労の再三にわたる使用願を許可しなかった理由として、旧労は組合員数からいって組合会館で総会が行なえることをあげているが、組合会館で総会を開催し得ない事情は両組合とも同様であるところから、旧労を差別的に取扱ったものと認めざるを得ない。

2901 組合無視
申立て組合の人員削減に関する団交を、合理化に反対するならば団交しても意味がない、合理化に対する組合側の見解表明がなければ団交に応じない、として5回にわたり団交を拒否した態度は、別組合に対する団交態度と比して差別扱いであるといわざるを得ない。

業種・規模  化学工業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集48集243頁 
評釈等情報   

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