概要情報
事件名 |
日豊タクシー |
事件番号 |
大分地労委昭和46年(不)第6号
大分地労委昭和46年(不)第8号
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申立人 |
大分県自動車交通労働組合 |
被申立人 |
日豊タクシー 株式会社 |
命令年月日 |
昭和47年11月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
分会結成直後の団交拒否、飲酒行為を理由とする分会員X1の解雇、X1の解雇に関する職場集会参加者の出勤停止処分をめぐる事件で、団交を拒否してはならない旨の不作為命令、出勤停止処分の取消し・バックペイを命じ、その他は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合の役員並びに上部団体役員の参加する団体交渉を拒否してはならない。 2 被申立人は、申立人組合の組合員X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8およびX9に対して昭和46年8月27日に行なった出勤停止処分を取消し、この間に得るはずであった諸給与相当額を支払わなければならない。 3 被申立人は、本命令書を受領した日から10日以内に、縦横1メートルの紙に下記陳謝文をわかりやすく墨書し、これを本社内の従業員の見やすい場所に1か月間掲げ、従業員に周知させねばならない。
大分県自動車交通労働組合 執行委員長 X10殿 日豊タクシー株式会社 代表取締役 Y1
陳 謝 文
会社が今日まで貴組合並びに貴組合員に対して行なった団体交渉拒否、出勤停止処分および支配介入の行為は、大分県地方労働委員会の命令により、不当労働行為であると認定されました。その行為を深く反省し、陳謝の意を表わすとともに、今後、このような行為を繰返さないことを確約いたします。
4 X1の試雇用取消し撤回の申立てについては棄却する。 |
判定の要旨 |
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
1400 制裁処分
勤務時間中職場集会をもったことは、若干行き過ぎの感がないでもないが、分会結成直後になされた突然の分会員X1の試雇用取消し、実質的な団交拒否、分会員の脱退が相ついでいる状況のもとでは、止むを得ないものといわざるを得ず、集会参加を理由とする出勤停止処分は酷といわざるを得ない。
0700 職場規律違反
勤務時間中の飲酒行為を理由とする分会員X1に対する試雇用取消しの措置は、同人がタクシー運転手であること、過去に飲酒行為が原因で解雇された例があること、同人と同席した営業部長も責任をとって辞職していることからみて同人が分会活動家であったとしても、不当労働行為とはいえない。
2123 その他交渉出席者
会社は、団交に応じない理由として、上部団体役員が参加していることをあげているが、分会側交渉員を誰にするかは分会で決めるべきことであるから団交拒否の理由とならない。
2241 他の係争事件の存在
交渉事項である解雇等の問題については、組合からの救済申立てにより地労委に係属中であるとの理由で、団交を拒否しているが、地労委の審問中であっても自主的に解決できないというものではないから、会社が自らの既定方針だけにとらわれていることは、正当とは認められない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3106 その他の行為
3410 職制上の地位にある者の言動
社長の分会長に対する発言は、その内容が上部団体加入に関する誹謗であり、Y2部長の分会書記長に対する発言は、結成直後の分会が上部団体の助力を必要とすることを知りながら、上部団体役員の排除を意図してなしたものであることから、いずれも組合に対する介入といわざるを得ない。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集48集216頁 |
評釈等情報 |
 
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