概要情報
事件名 |
矢崎化工 |
事件番号 |
大阪地労委昭和46年(不)第30号
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申立人 |
化学産業労働組合同盟矢崎化工支部 |
被申立人 |
矢崎化工 株式会社 大阪工場 |
命令年月日 |
昭和47年11月24日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
争議中の男子寮室での組合ビラ印刷等を理由とする組合幹部の出勤停止処分、同処分に関する団交を拒否したことをめぐる事件で、処分の取消しとポスト・ノーティスを命じ、他は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1、X2およびX3に対して、昭和46年6月4日づけ出勤停止処分を行なわなかったものとして取扱い、同処分によって同人らが失った賃金相当額を支払わなければならない。 2 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、矢崎化工株式会社大阪工場正門横の同工場掲示板に、1週間掲示しなければならない。 記 年 月 日 化学産業労働組合同盟 矢崎化工支部 執行委員長 X1殿 矢崎化工株式会社大阪工場 工場長 Y1 当工場長は、下記の行為を行ないましたが、これらの行為は労働組合法第7条第1号、第2号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為を繰返さないことを誓約します。 記 (1) 昭和46年6月4日づけで執行委員長X1氏ほか2名を出勤停止処分に付したこと (2) 上記出勤停止処分についての団体交渉を正当な理由なく拒否したこと 以上、大阪府地方労働委員会の命令によって掲示します。 3 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
0200 宣伝活動
賃上げ闘争中、組合が発行したビラには、その表現に若干の誇張がみられたとしても、事実に反したとは認め難いところから、会社の組合ビラは不当であるとの主張は認めがたい。
0202 会社施設の利用
申立組合が、事前に工場長の許可を受けることなく娯楽室を使用した行為は、事前事後の許可申請が不可能であったとの事情が認められず、かつ、従来から同室の使用につき、事前に許可を求め、工場長もこれを拒否した事実もないところからみて、妥当なものとはいえない。
0202 会社施設の利用
組合が、賃金闘争中にX3書記長の寮室で、組合ビラの印刷、執行委員会を開催したことは、寮室でのこの程度の組合活動を行なうことは本来当該寮生の自由に属する事柄であること、組合事務所が狭小であることを併せ考えると、止むを得ないものと認められる。
0421 幹部責任
組合員X4が、守衛の通話中の電話を取り上げた行為は穏当を欠くものであるが、組合の指揮統制下の行為とは認められないから、本件行為をもって組合幹部の責任を追求するのは失当である。
0421 幹部責任
争議中の組合の会社施設への赤旗掲揚、ビラ貼付は、一般的になされていることであり、特に本件の如く、これらの行為によって会社施設のき損、業務の阻害が認められず、かつ、賃金争議妥結後、これらをすべて撤去していることからみても組合幹部の責任追求は失当である。
0421 幹部責任
会社は、組合が会社の警告を無視して約束と違う場所に、組合掲示板を設置した旨主張するが、会社組合間に約束があったとは認められないのみならず、本件に関してはその後の団交で円満に話合いがついていることから、これを理由に組合幹部の責任を追求するのは失当である。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
委員長ら組合幹部を出勤停止処分に付した理由として、男子寮室での組合ビラ印刷等7項目をあげているが、これらのほとんどが正当な組合活動と認められるところから、組合を嫌悪する会社が、これらに藉口して同人らを処分することで、組織の弱体化をはかったものと認めざるを得ない。
2242 回答なし
2301 人事事項
組合幹部の出勤停止処分に関する団交申入れを、当然の処分を行なったまでで、団交に応ずる必要がないとして、団交を拒否した態度は、正当な理由なく団交を拒否するもので、7条2号に該当する不当労働行為である。
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業種・規模 |
プラスチック製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集48集205頁 |
評釈等情報 |
 
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