労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  日本ナショナル金銭登録機 
事件番号  神奈川地労委昭和40年(不)第7号 
神奈川地労委昭和41年(不)第1号 
申立人  総評全国金属労働組合神奈川地方本部日本ナショナル金銭登録機大磯支部 
被申立人  日本ナショナル金銭登録機 株式会社 
命令年月日  昭和47年11月24日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  申立て組合に組合事務所の明渡し、掲示板の一部返還、組合旗掲揚場所の変更等を通告し、上部団体役員、組合専従書記の入構を拒否し、ビラ配布行為を理由に専従書記を出勤停止処分、無届集会の強行を理由に組合執行部全員を出勤停止処分、箱製ポスターの作製、設置を理由に委員長ほか1名を訓戒処分に付したことをめぐる事件で、組合事務所明渡し請求の撤回、専従書記の組合事務所への入構拒否の禁止、専従書記の出勤停止処分の取消し・バックペイ、委員長らに対する訓戒処分の取消しを命じ、その他は棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、昭和40年5月6日づけ通告書もって、申立人に対して行なった組合事務所の貸与契約の解除および早期明渡しの請求を撤回しなければならない。
2 被申立人は、申立人組合の専従書記に対し組合事務所までの入構を、雇用関係の不存在のみを理由として拒否してはならない。
3 被申立人は、申立人組合員X1に対する昭和41年1月29日づけの出勤停止3日の処分を取消し、同処分に伴う減給相当額を支払わなければならない。
4 被申立人は、申立人組合員X1に対する昭和40年7月29日づけ訓戒処分及び申立人組合員X2に対する昭和40年8月17日づけ訓戒処分を取り消さなければならない。
5 申立人のその余の救済申立ては棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
1400 制裁処分
ビラ配布によって、多数従業員の通路である程度の混乱が生じたとしても、1回のビラ配布行為をとらえて組合役員を出勤停止3日の懲戒処分に付した会社の行為は、当を得たものとは認めがたい。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
0421 幹部責任
会社が当日の紛争を避けるべく、組合がロビー前に予定した集会を裏庭で行なうよう要請したにもかかわらず、組合がロビー前でなければ集会の目的を達成できない特段の事情もないのに集会を強行した以上、組合執行部が集会の責任を追求されてもやむを得ない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
夏季一時金争議中、各課長が申立て組合員以外の者に、スト当日の平常勤務をうながす発言をしたとしても、争議行為を控えた際の会社側職制の発言であってみれば、これをもって支配介入とまではいえない。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合事務所を相対立する別組合と共同使用することは社会通念上不可能であるから、これを拒否したからといって適当な代替物件を提示することなく、組合事務所の明渡しを通告したことは、申立て組合の弱体化を狙った支配介入と認めざるを得ない。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が両組合の均衡を保つために組合掲示板の一部返還請求したことは、会社が両組合を平等に取り扱うことに意を用いるのは当然であるから、支部の教宣活動に支障をきたす特段の事情がない限り、これを不当な請求であるとはいえない。

3020 組合活動への制約
就業規則改正後、会社が部外者の入構を許可した事実がなく、今回食堂を組合大会会場として使用することを許可する際も、施設管理上部外者を参加させないことを条件とし、組合もこれを了承していることからみて、会社が上部団体役員、専従書記の入構を拒否したとしても、支配介入とはいえない。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
同一企業内に複数の組合が存在する場合、会社が両組合を平等に取扱うために意を用いるのは当然であり、この見地から会社が組合掲示板の設置可能な場所で8ヵ所と断定し、両組合に4ヵ所ずつ貸与するため、申立組合に6ヵ所中2ヵ所の掲示板の返還を求めたとしても、これをもって不当とはいえない。

3020 組合活動への制約
組合掲示文書の内容が、ベトナム侵略戦争反対など政治文書であることからみて、会社が、その特殊性から、これを業務上支障があるものとして撤去を求めたことを支配介入とみなすことはできない。

3020 組合活動への制約
組合専従書記が事前に入構の手続をとっていなかったとしても、組合にとって重要な職責をもつ同人の組合事務所への入構を拒否することは、組合の運営に対する支配介入といわざるを得ない。

3020 組合活動への制約
多数組合員の通路でのビラ配付によって、ある程度の混乱が生じたため、会社がビラ配布の場所、方法につき組合に干渉したとしても、これをもって直ちに支配介入とはいい得ない。

3020 組合活動への制約
組合旗の掲揚場所は守衛所裏の生垣沿いにする旨の取決めがあること、組合も本件で移動を要請された1本を除いてはすべて生垣沿いに掲揚している事実からみて、会社が施設管理上支障があるとして、取決め外の1本のみの掲揚場所の変更を申入れたとしても、これをもって支配介入とはいいえない。

3020 組合活動への制約
組合が、払下げをうけた廃品を利用して箱製ポスターを作製、設置したこと、同ポスターの撤去申入れを拒否したことにつき、会社が、これを無断で撤去したうえ、組合の責任を追求してX2,X1を訓戒処分に付した行為は、同人らが委員長、執行委員であることから、支配介入と判断せざるを得ない。

3106 その他の行為
会社が、夏期一時金争議中申立て組合の妥結以前に全従業員に一時金を支給したところ、組合から強い非難が出たため、会社が組合主張どおり妥結しない組合の組合員には支給しない方針を決め、年末一時金の支給対象者確認の必要から、非組合員調査を行なったもので、支配介入とはいえない。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
就業時間外のビラ配布まで規制しようとした会社の声明は、組合が許可願いを出しても一切許可しない方針を明らかにしている点からも、許可権の濫用と認められるが、その後会社が、ビラ配布の方法について組合に対し再三協議を申入れていることからみて、会社の態度は改められたと判断される。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集48集190頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 昭和48年1月30日  802号( 24巻 3号)  19頁 

[先頭に戻る]