労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本計算器 
事件番号  京都地労委昭和45年(不)第4号 
京都地労委昭和47年(不)第10号 
申立人  総評全国金属労働組合京滋地方本部日本計算器支部 
被申立人  日本計算器 株式会社 
命令年月日  昭和47年11月17日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  申立て組合員に対する賃上げ、一時金の差別、仮処分執行に立会った組合役員に対する懲戒処分をめぐる事件で、在籍者と差異のない計算方法によるバックペイと懲戒処分の取消し、ポスト・ノーティスを命じ、他は棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合の組合員X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23に対する昭和44年度、昭和45年度および昭和46年度の各賃上げを各年度4月分より第1表の金額とし、すでに支給ずみの金額を控除した第2表の金額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人組合の組合員X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23に対する昭和43年年末、昭和44年夏季および年末、昭和45年夏季および年末および昭和46年夏季および年末の各一時金支給額をそれぞれ考課査定を「普通」として計算した額である第1表の金額とし、すでに支給ずみの金額を控除した第2表の金額を支払わなければならない。
3 被申立人は、昭和44年8月20日付で行なったX16に対する譴責および2日間の出勤停止ならびにX2、X1、X18に対する譴責および減給の各処分を取り消し、前記出勤停止または減給により削減した賃金をそれぞれ支払わなければならない。
4 被申立人は、下記の文書を申立人に提出するとともに、同内容の文章を縦1メートル、横1.5 メートルの大きさの模造紙に墨書し、被申立人会社峰山製作所正門内の従業員が出退社のさいに見易い場所に10日間掲示しなければならない。
               記
 会社は、貴組合の組合員に対し、昭和44年度、昭和45年度および昭和46年度の各賃上げならびに昭和43年年末、昭和44年夏季および年末、昭和45年夏季および年末、昭和46年夏季および年末の各一時金のそれぞれの支給について平均以下の査定をしたり、妥結がおくれたことを理由に実施月をおくらせたり、昭和45年の夏季一時金の算定基準を前年度の基準賃金として新労と差別したりしたこと、および昭和44年8月20日付で行なった貴組合の組合員X16に対する譴責および出勤停止ならびに同X2、X1、X18に対する譴責および減給処分は、いずれも不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。
 以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約いたします。
     昭和 年 月 日
   総評全国金属労働組合京滋地方本部
   日本計算器支部
       執行委員長 X6 殿
              日本計算器株式会社
               代表取締役 Y1 
判定の要旨  0200 宣伝活動
1400 制裁処分
過去の仮処分執行の際に会社管理職の妨害があったことから、組合は今回の仮処分執行にあたり、組合役員が立会う方針を決め、会社に組合活動の届をなして立会ったことが認められるところから、これらの行為は組合活動そのものであり、これを理由に組合役員を懲戒処分に付するのは妥当でない。

1202 考課査定による差別
別組合結成までの申立て組合員らの勤務成績は、標準乃至それ以上に評価されていたにもかかわらず、別組合結成後同人らの成績を低く評価し、賃上げ、一時金を別組合員と差別したことは、会社の組合壊滅を意図した数々の行為に粘り強く闘ってきた申立て組合員を嫌悪してなしたものと認められる。

4415 賃金是正を命じた例
申立て組合員の解雇、一時帰休命令が不当労働行為である以上、賃上げ、一時金の支給対象から被解雇者を除外し、一時帰休者の一時金を減額した措置は妥当でなく、これらの救済方法としては、在籍者と差異のない計算方式による金額の支給を命ずるのが至当であると判断する。

4407 バックペイの支払い方法
組合は、賃上げ、一時金の差別是正方法として、賃金体系の変更に伴い、予備的に会社の新賃金体系に合致する賃金への是正を求めているが、当委員会としても本件救済につき、存在しない旧賃金体系に基づく賃金の支払いを命ずることは妥当でないと判断するので、組合の請求を認めることとする。

5201 継続する行為
会社は、43年年末一時金の救済申立ては1年を経過しており、申立権は消滅している旨主張するが、会社が組合壊滅を意図して年々同じ不当労働行為を繰り返していることから、年末一時金の差別扱いは継続する行為とみるのが妥当であり、会社の主張は認められない。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集48集153頁 
評釈等情報   

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