労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  食品輸送 
事件番号  兵庫地労委昭和46年(不)第13号 
申立人  全国自動車運輸労働組合食品輸送支部 
被申立人  食品輸送 株式会社 
命令年月日  昭和47年 9月12日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要  組合員と非組合員とを隔離する配転、組合員に対する乗車拒否、乗車制限、および、脱退工作等をめぐる事件で、これら会社の行為は不当労働行為であるとして配転命令取消し、ポスト・ノーティス等を命じた。 
命令主文  1. 被申立人会社は、申立人組合の組合員6名(X1、X2、X3、X4、X5、X6)を、西宮車庫から神戸市東灘区深江浜町31番地第4工区所在の被申立人会社阪神営業所の勤務に復帰させなければならない。
2. 被申立人会社は、昭和46年7月以降組合員に対する乗車制限、乗車拒否などの差別扱いによって減収となったその差額を、各組合員に支給しなければならない。
3. 被申立人会社は、申立人組合の組合員らを非組合員から隔離したり、乗車拒否をして就労させないなどの差別扱いをしてはならず、かつ、組合員に対して組合からの脱退を強要するなど組合運営に関して支配介入してはならない。
4. 被申立人会社は、下記のとおり陳謝文を縦1メートル、横2メートルの白色木板に墨書して、労働委員会の救済命令書写交付の日から30日以内に被申立人会社の本社および阪神営業所の各表入口に、それぞれ1か月間掲示しなければならない。
              記
 全国自動車運輸労働組合
   食 品 輸 送 支 部 殿
             食品輸送株式会社
                 代表取締役 Y1
          陳  謝  文
 当社は、貴組合が結成以来、組合員に対し組合からの脱退工作を行ない、また、組合員を非組合員と差別して輸送出入先の制限、乗車拒否、場所的隔離をしましたことは、明らかに組合員に対する差別待遇であるとともに、組合運営に対する支配介入であり、労働組合法第7条に違反する行為でありますので、深く陳謝するとともに今後かかる不当労働行為は絶対にしないことを誓約いたします。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
3421 使用者と取引関係者の言動
会社が、取引会社からの申入れを理由として組合員に対して乗車制限したことは、スト中の出来事が同社に判明していた事実からみて、同社と共謀して組合員の同社への出入を禁止し出張手当の減少を意図したものと推認せざるを得ない。

1302 就業上の差別
3900 「不利益の範囲」
会社が、組合員の乗車を拒否したことは、出張手当を支給していたとしても、会社が組合員に対して与えた精神的苦痛は大であり、そこに会社の不利益扱いによる組合切り崩しの意思を認めざるを得ない。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員と非組合員とを隔離した配転命令は、両者間のトラブルを防止するためというが、かかる事実がなく、しかも業務運営上、必要であったとも認められないから、設備の劣悪な職場への配転により組合の弱体化を図り、組合切り崩しを意図した支配介入といわざるを得ない。

3106 その他の行為
3411 その他の従業員の言動
本社社員Y2の行なった脱退工作は、同人が本件争議発生以来、会社重役、部長と常時行動を共にしている事実からみて、会社に帰責すべきものであり、会社の行なった脱退工作といわなければならない。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集47集431頁 
評釈等情報   

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