概要情報
事件名 |
北海道電力 |
事件番号 |
北海道地労委昭和44年(不)第43号
|
申立人 |
全北海道電力労働組合 |
被申立人 |
北海道電力 株式会社 |
命令年月日 |
昭和47年 8月30日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
期末手当、昇給査定の組合間差別、年齢階層別懇談会、生産性研修会への組合員の参加拒否、職場指導者、レクリーダー委嘱の組合間差別等をめぐる事件で、査定、研修会、および懇談会での差別を認め、再査定と差額支払、陳謝文の手交を命じ、他は棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、本件申立時である昭和44年12月19日現在の、申立人組合道東支部に所属する組合員の、昭和43年度夏期期末手当、ならびに昭和44年度昇給の査定を次により再査定し、その額よりも低額となる者については差額を支払わなければならない。 (1) 43年度夏期期末手当てについては、42年度下期期末手当の各職級別の1人当り平均源資に対する各人の査定率と同率のものを、43年度下期期末手当の各職級別の1人当り平均源資に乗じて算出した額とすること。 (2) 44年度昇給については、43年度昇給の各職級別の1人当り平均源資に対する各人の査定率と同率のものを、44年度昇給の各職級別の1人当り平均源資に乗じて算出した額とすること。 (3) 上記(1)および(2)の査定時において、職級に変更のあった者、および各前年同期の査定実績が算出不能の者については、同級の社員との均衡を考慮して、不利益にならないように査定すること。 2. 被申立人は、次の陳謝文を命令交付の日から3日以内に申立人に手交しなければならない。 陳 謝 文 会社は、次のような行為が、全北海道電力労働組合に対する不当労働行為であったことを認めます。 (1) 昭和43年度下期期末手当、および昭和44年度昇給の査定にあたって、同組合の組合員を不当に低位に査定したこと。 (2) 生産性青年社員研修会、および支店長主催の年令階層別懇談会に、同組合の組合員を排除したこと。 よって会社は、今後かかる行為は絶対に行なわないと同時に、全北海道電力労働組合の活動を阻害しないことを誓約します。 昭和47年 月 日 全北海道電力労働組合 執行委員長 X1 殿 北海道電力株式会社 取締役社長 Y1 3. 申立人の、その余の救済申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
期末手当、昇給における査定は、前期および別組合員との比較で著しく低下しており、組合結成と機を一にして組合員のみの業績、能力が極端に低下したとは考えられないから、組合員である故をもって、会社が組合員の査定を不利に扱った不当労働行為であるといわざるを得ない。
2901 組合無視
会社が、新入社員職場指導員やレクリエーション・リーダーに、組合員を全く委嘱しなかったことについては、所属組合の故の差別と認めるに足る証拠がない。
3011 従業員教育
会社が、年令階層別懇談会および生産性青年社員研修会に、組合員を参加させなかったことは、組合が反対している生産性向上運動にあたるかどうかを確認することなく、組合員を対象から除外していることからみて、組合に所属する故の差別扱いであると認められる。
2901 組合無視
安全衛生委員会を設置するか否かは、それぞれの組合との労働協約の定めに基づいてなされたものであるから、申立て組合に対して差別して設置しなかったとはいえない。
3411 その他の従業員の言動
別組合員である安全パトロール要員が、組合の組合員に脱退を勧奨したことは、労働組合間の組織争いの問題であり、これに会社が関与したとする証拠もなく、支配介入行為とは認められない。
4413 給与上の不利益の場合
期末手当、昇格査定の是正方法は、前年同期の査定実績ある者は前年同期の査定率と同率にし、職級の変った者及び実績が算出できない者は同級の社員との均衡を考慮して不利益とならないように再査定し、差額を支払わなければならない。
|
業種・規模 |
電気業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集47集287頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 昭和48年 3月10日 806号 (24巻 7号) 20頁 
|