労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  北海道電力 
事件番号  北海道地労委昭和44年(不)第36号 
北海道地労委昭和45年(不)第4号 
申立人  全北海道電力労働組合 
被申立人  北海道電力 株式会社 
命令年月日  昭和47年 8月30日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  期末手当、昇給査定の組合間差別、文化体育協議会、社内訓練への組合員参加拒否、定員削減に反対した書記長X1の自宅待機処分、配転等をめぐる事件で査定および訓練の差別を認め、再査定と差額支払、陳謝文の手交を命じ、他は棄却した。 
命令主文  1. 被申立人は、本件申立時である昭和44年11月13日現在の申立人組合火力支部滝川分会に所属する組合員の、昭和43年度上期および同下期期末手当、ならびに昭和44年度昇給の査定を次により再査定し、その額よりも低額となる者については差額を支払わなければならない。
(1) 43年度上期期末手当および同下期期末手当については、前年度同期期末手当の各職級別の1人当り平均源資に対する各人の査定率と同律のものを、43年度上期期末手当および同下期期末手当の各職級の1人当り平均源資に乗じて算出した額とすること。
(2) 44年度昇給については、43年度昇給の各職級別の1人当り平均源資に対する各人の査定率と同率のものを、44年度昇給の各職級別の1人当り平均源資に乗じて算出した額とすること。
(3) 上記(1)および(2)の査定時において、職級に変更のあった者、および各前年同期の査定実績が算出不能の者については、同級の社員との均衡を考慮して、不利益にならないように査定すること。
2. 被申立人は、次の陳謝文を命令交付の日から3日以内に申立人に手交しなければならない。
          陳  謝  文
 会社は、次のような行為が、全北海道電力労働組合に対する不当労働行為であったことを認めます。
(1) 昭和43年度上期期末手当および同下期期末手当の査定、ならびに昭和44年度昇給の査定にあったて、同組合の組合員を不当に低位に査定したこと。
(2) 会社が行なった社員教育行事に、水力見学研修以外は、同組合の組合員を差別して参加させなかったこと。
 よって会社は、今後かかる行為は絶対に行なわないと同時に、全北海道電力労働組合の活動を阻害しないことを誓約します。
                    昭和47年 月 日
     全北海道電力労働組合
       執行委員長 X2 殿
             北海道電力株式会社
               取締役社長 Y1
3. 申立人の、その余の救済申立てを棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
期末手当、昇給における査定は、前期および別組合員との比較で著しく低下しており、組合結成と機を一にして組合員のみの業績、能力が極端に低下したとは考えられないから組合員である故をもって、組合員の査定を不利に扱った不当労働行為であるといわざるを得ない。

1300 転勤・配転
組合書記長X1に対しての配置替えは、同一課内の職務分掌替えとみるのが相当であり、これによりX1が不利な条件になったとする疎明もなく、不当労働行為とは認められない。

1401 労務の受領拒否
組合が新勤務体制に反対しているからといって、当該組合の役員個人が業務命令を拒否することは正当とはいえず、したがって、これに対する待機処分も組合役員なるが故の不利益扱いとすることはできない。

2901 組合無視
会社が、文化体育協議会役員に組合代表者を参加させなかったのは同協議会規則に従ったもので、規則制定後組合が結成されたものである以上やむを得ず、また、運営委員に組合員が選ばれなかったことも、各係ごとに選出されたものであるから、これまた会社の差別扱いとは認められない。

3011 従業員教育
会社が、組合が生産性に関する教育に反対の立場にあることを理由に教育への組合員の参加を拒否したことは、教育計画が、組合が反対する生産性向上運動に当るかどうかの確認もせず、抽象的な選考による推せん者の恣意にまかせて、組合員を除外したものであるから、正当な理由とは認められない。

2901 組合無視
会社が、副運転指導員に、組合員を全く委嘱しなかったことは、委嘱された別組合員が指導者としての適格性に欠けるという疎明がなく、また、委嘱に年功序列による慣行が存在していたとも認められないので、不当労働行為とは認められない。

3100 スパイ
3410 職制上の地位にある者の言動
職場集会の状況を、Y2係長が写真撮影したことは、組合が会社施設を無断使用したことについて、自己の職責上からの判断で、上司の指示なく一存で行なったものであるから会社の支配介入行為とは認められない。

4413 給与上の不利益の場合
期末手当、昇格査定の是正方法は、前年同期の査定実績ある者は前年同期の査定率と同率にし、職級の変った者及び実績が算出できない者は同級の社員との均衡を考慮して不利益とならないように再査定し、差額を支払わなければならないこととする。

業種・規模  電気業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集47集270頁 
評釈等情報   

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