概要情報
事件名 |
来山閣 |
事件番号 |
大阪地労委昭和46年(不)第43号
|
申立人 |
大阪芸能労働組合 |
被申立人 |
株式会社 来山閣 |
命令年月日 |
昭和47年 7月24日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、組合員2名を別会社の従業員とし、組合との団交を回避し、定期昇給についても同人らに差別扱いをした事件で、会社の従業員として取扱うこと、誠意をもって団交に応ずること、陳謝文の掲示を命じた。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、申立人組合の組合員X1および同X2を名城企画株式会社とは関係なく被申立人の従業員として取り扱わなければならない。 2. 被申立人は、昭和44年4月7日づけで申立人組合から要求のあった労働協約締結のための団体交渉に誠意をもって応じなければならない。 3. 被申立人は、縦1メートル、横1メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社の従業員通用階段壁画の見やすい場所に2週間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 大阪芸能労働組合 委員長 X3 殿 株式会社 来 山 閣 代表取締役 Y1 当社は、名城企画株式会社を利用して貴組合の組合員X1氏およびX2氏を当社の従業員として認めず、昭和46年度の定期昇給についても不当な差別取扱いをするなど貴組合の団結をおびやかす行動を繰り返してまいりました。 また、労働協約締結のための団体交渉に誠意をもって応じませんでした。このようなことは、労働組合法第7条第1号、第2号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、深く陳謝いたしますとともに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。 以上、大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。 4. 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1604 その他
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
バンドマンの採用にあたって、形式上別会社採用、出向の形をとって、会社の従業員ではないとして取扱ったことは、就労の実情、別会社の実態不明なところからみて、組合を嫌悪し、他社の例にならって使用従属関係を否認し、もって、組合との交渉など一切の関係を断とうとしたものと認められる。
2247 解決済
2305 労働協約との関係
地労委での和解で別会社の問題は今後の団交で円満解決すると協定したにもかかわらず、一切の団交を拒否し、労働協約の組合の提示案の審議にも応じようとしないことは、団交の当事者としての誠実義務を尽くしたとはいえない。
4413 給与上の不利益の場合
4421 文書掲示等を命じた例
定期昇給が遅延したことについて正当な理由がないことは会社自らその非を認めているが、その救済については、定期昇給が遡及実施されている以上、陳謝文で足り差額支給は必要としない。
4603 その他
会社が別会社を利用して組合の組織を弱体化させたことについての損害賠償は、会社のいかなる不当労働行為による損失の補償を求めているのか不明で救済の対象とすることができない。
|
業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集47集112頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 1972.10.10 818号 83頁 
|