労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  大豊運輸 
事件番号  大阪地労委昭和45年(不)第33号 
大阪地労委昭和45年(不)第73号 
申立人  総評全国自動車運輸労働組合大阪地方本部関西地区生コン支部 
被申立人  大豊運輸株式会社 
被申立人  豊国生コンクリート株式会社 
命令年月日  昭和47年 7月 1日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社側が生コンの需要減や労使紛争による得意先の喪失等を理由に分会員の残業の機会を少なくし、2営業所を他会社に譲渡し、第二組合員のみを収容し、分会員のみの残る大豊運輸を解散,解雇したことをめぐって争われた事件で、大豊運輸と豊国生コンクリートの共同責任を認め、残業の機会を与えなかったことによる分会員の逸失賃金の支払い、解雇取消、バックペイ、企業再開時に分会員の就労の措置をとることを命じた。 
命令主文  1. 被申立人大豊運輸株式会社および豊国生コンクリート株式会社はそれぞれ、申立人組合大豊運輸分会の分会員に対して次の措置を講じなければならない。
(1) 昭和44年12月16日以降解雇の日までに分会員らに対して時間外労働の機会を与えなかったことによって失なわせた賃金相当額を支払うこと
(2) 昭和45年8月15日づけの解雇がなかったものとして、解雇の日以降業務再開の日まで、分会員らが受けるはずであった賃金相当額〔時間外労働手当相当額を含む〕を支払うこと
2. 被申立人らは、その業務を再開したときは、分会員らを就労させなければならない。 
判定の要旨  1800 会社解散・事業閉鎖
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
 本件会社解散は,まず、営業を譲渡して分会員のみを孤立させ、営業継続不能の状態をつくり出し、なお大豊運輸にふみとどまって抵抗を続ける分会員を嫌悪して企業解散・全員解雇という手段を用いてこれを壊滅させ、その後別の運送会社を設立して事業を再開しようと企画したもので、大豊運輸および豊国生コンの行為は、不当労働行為である。

1900 営業譲渡・合併
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
 大豊運輸が、ロックアウトの長期実施、その後の時間外労働減らしのあとに新光運輸に両営業所を形式的に譲渡したことは、営業上の必要性が認められず、かつ、第二組合員のみ転籍の措置をとっていることからみて分会を嫌悪し、分会員と第二組合員を切り離し、分会壊滅を進めようとして行なった不当労働行為である。

2900 非組合員の優遇
4603 その他
 ロックアウト以後第二組合に比べて分会員の時間外労働が減少したことは、大豊運輸が豊国生コンの指導にもとづき分会員に経済的圧力を加え分会を壊滅させるため分会員に対する脱退工作とあわせて不当な差別扱いをしているものと推認されるので、分会員の失った賃金相当額の補償を命ずる。

4916 企業に影響力を持つ者
 大豊運輸に対する豊国生コンの支配は、単に経営面にとどまるものではなく従業員の労働条件をも左右していたとみられ、その使用従属関係が形式上直接的でなかったとしても豊国生コンが大豊運輸とともに分会員らと対向的関係にあるから、両会社は不当労働行為事件の共同責任を負担すべきである。

業種・規模  窯業・土石製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集47集29頁 
評釈等情報  労働法律旬報 1972.10.25  819号 64頁 
労働判例 1972.11. 1  159号 70頁 

[先頭に戻る]