労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  長崎電気軌道 
事件番号  長崎地労委昭和45年(不)第224号 
申立人  長崎電軌労働組合 
被申立人  長崎電鉄軌道 株式会社 
命令年月日  昭和47年 6月 8日 
命令区分  棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) 
重要度   
事件概要  会社が、複数組合が存在する下で、賃金を遅配し、申立人組合に対して、団交の場所等で差別扱し、また、従業員および家族に組合方針を批判するビラを配布した事件で、申立てを棄却した。 
命令主文  本件申立てを棄却する。 
判定の要旨  2500 別組合の結成・援助
 スト中保安要員として出勤していた者が、無断で職場を離脱し新労結成大会に参加したことについて、会社は、何らの措置もとっていないが、無断職場離脱者の新労結成大会参加を確認したのは後日のことであるし、又、スト中これらの者の出勤を促すことはかえって不穏な事態を招くおそれもあり、これを放置したことを新労結成援助とまではいえない。

2500 別組合の結成・援助
 組合が分裂した場合、会社が、旧労の申出による組合統一のあっせんを拒否したことをもって、新労の立場のひごとはいえず、このような場合、会社が一方的にあっせんすることこそ、不当労働行為と評価されるものである。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
 組合分裂前に課長らの職制と組合支部長、事務長らとの会合、会食等の事実があったとしても、それらが支部長らの働きかけで行なわれたものであること、話しの内容も会社再建の見通し等が中心であったこと、又、課長、支部長らが個人的に親しかった等を考えれば、分裂を策動したものとはいえない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
 会社の従業員並びに家族へのビラ配布は、内容において、旧労との団交の経緯を明らかにしたもので、全体として、争議時における会社の広報活動として社会通念上許容される程度の範囲内と認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
 専務の会社再建についての新労の主張には賛成だとの趣旨の新聞談話及び団交中での発言は、会社の方針が新労に理解されたことを歓迎する趣旨のものであり、これをもって不当労働行為の意図があったものとはいえない。

2900 非組合員の優遇
 新労組員に対し、旧労のストにより不就労にもかかわらず賃金を支払ったのは、組合間に摩擦を生じさせることを考慮して会社が休業を命じたものであるから休業手当の性格をもつもので、新労への便宜供与とはいえない。

2803 その他
 会社が新労との団交の場所を変更したのは、組合分裂直後の組合間の対立が激しく、通常用いる場所が旧労組員が多数待機しているなどの事情のためによる異例の処置であると認められるから、新労への便宜供与ということではない。

3106 その他の行為
 賃金遅配は、組合の闘争時に起きたものであるが銀行が融資を渋り出すなど、経営資金のひっ迫によるものとみられるので、不当労働行為とはいえない。

2111 唯一交渉団体条項
2500 別組合の結成・援助
3103 労働協約締結をめぐる行為
 旧労との唯一交渉約款は、組合分裂により統一基盤が失なわれた状況の下では、その効力はなく、同約款の存在をもって、新労との団交を制限、ないし阻止しうるものではないから会社の新労承認を、旧労に対する支配介入ということはできない。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集46集599頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 昭和47年10月30日  794号 (23巻29号)  23頁 

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