概要情報
事件名 |
酒井特殊カメラ |
事件番号 |
大阪地労委昭和45年(不)第79号
|
申立人 |
全大阪金属産業労働組合 |
被申立人 |
株式会社 酒井特殊カメラ製作所 |
命令年月日 |
昭和47年 5月13日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が複数組合が存在する中で、申立人組合員に対して賃上げの実施時期および賃上げ一時金の考課査定について差別扱いした事件で、時期の遡及、考課点の是正等を命じた。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、下記11名の者に対し、昭和44年年末一時金および昭和45年夏季一時金ならびに昭和45年賃上げにおける考課査定について、それぞれ考課得点を下記のとおり修正して金額を是正し、すでに支払済みの金額との差額を支払わなければならない。 また、賃上げ是正に伴い一時金および時間外労働に関する手当に生ずる差額も支払わなければならない。 記 (1) X1については、職級を3級に格付し、その考課得点を、つぎの (2) に記載の7名を除いた職級3級に属する従業員の平均考課得点とすること (2) X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8については、同人らのそれぞれの考課得点に、同人ら7名を除いた職級3級に属する従業員の平均考課得点と同人ら7名の平均点との差を加えること (3) X9およびX10については、同人ら両名のそれぞれの考課得点に、両名およびX1を除いた職級2級に属する従業員の平均考課得点と両名の平均考課得点との差を加えること (4) X11については、その考課得点を、同人を除いた職級1級に属する従業員の平均考課得点とすること 2. 被申立人は、上記1に記載の11名の者に対し、昭和45年7月25日支払賃金から実施した昭和45年賃上げを、上記1により是正した賃上げ額によって同年4月25日支払賃金から実施しなければならない。 また、遡及取扱いに伴い一時金および時間外労働に関する手当に生ずる差額も支払わなければならない。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
賃上げを7月実施とすることにつき、妥結時期が遅れたことを理由とするが、他労組には4月より実施していること、組合も4月よりの実施を要求していることに加えて、会社が妥結について圧力を加えている等の事実からみれば、7条1、3号に該当する不当労働行為である。
1202 考課査定による差別
賃金、一時金の考課査定の基本となる職級格付については、別件で不当労働行為と判断したのであるから、その後の考課査定においても旧来の格付のまま行なうことは不当労働行為といわざるを得ない。
1202 考課査定による差別
2901 組合無視
組合員の考課査定の平均点が他組合員のそれより低く、それにつき合理的理由に乏しいことから、不当労働行為と判断されているのに、その後の賃上げなどの査定について新たな疎明をしない以上、不当労働行為であるといわざるを得ない。
4413 給与上の不利益の場合
4419 現存格差を一挙に是正した例
考課査定の救済方法としては、組合員の考課点に、同級の組合員と他組合員との平均考課点の差を加えて、救済するのが妥当である。
|
業種・規模 |
精密機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集46集471頁 |
評釈等情報 |
 
|