労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  クミアイ化学工業 
事件番号  東京地労委昭和44年(不)第73号 
申立人  日本労働組合総評議会化学産業労働組合同盟クミアイ化学労働組合 
被申立人  クミアイ化学工業 株式会社 
命令年月日  昭和47年 3月21日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社合併後の一時金支給に当って、旧企業間の業績の差異を理由に、組合間に 0.5カ月分の格差を設け、これを申立人組合に秘匿した上、 0.5カ月分の特別支給を行ない、その取扱いを協議することなく一方的に返済を迫った事件で、陳謝文の交付を命じた。 
命令主文  1. 被申立人クミアイ化学工業株式会社は、申立人日本労働組合総評議会化学産業労働組合同盟クミアイ化学労働組合に対して、下記の内容の文書を交付しなければならない。
            記
 当社は、昭和43年年末一時金問題をめぐる以下の行動につき、貴組合に対して遺憾の意を表します。
1. 昭和43年12月14日、クミアイ化学工業労働組合との間に締結した「1.クミアイ化学労組の43年12月賞与は組合員平均基本給の 3.3か月を前提とする。2.前号の支給率に変更があった場合はそれ相当額を考慮する。」との覚書を昭和44年7月1日まで貴組合に秘していたこと。
2. 昭和44年1月22日ごろから退職する貴組合の組合員の退職金から、昭和43年年末一時金の返済として、給料の 0.5カ月分相当額を貴組合に通告せず差し引いたこと。
 昭和  年  月  日
             クミアイ化学工業株式会社
                 代表取締役 Y1
日本労働組合総評議会化学産業労働組合
同盟クミアイ化学労働組合
  執行委員長 X1 殿
 (注、年月日は文書を差し出す日を記載すること。)
2. 被申立人会社は、前項の命令を履行したときは、その文書を添えてすみやかに当委員会に報告しなければならない。 
判定の要旨  1200 降格・不昇格
年末一時金は、会社の業績如何が決定の一要素となるものであるから、会社合併前の両企業間の業績に差異がある以上、これを理由とした組合間の一時金支給額の格差を不当労働行為とはいえない。

2900 非組合員の優遇
年末一時金について組合間に 0.5カ月の格差を設けたことは不当労働行為とはいえないが、これを申立組合に秘し、かつ、申立組合に別途0.5 ヶ月分支給した金額の性格、精算等について協議する合意があるのにこれを無視して、一方的に返済を迫ったことは、不公正な態度であり、支配介入と認められる。

業種・規模  飲料・たばこ・飼料製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集46集323頁 
評釈等情報  労働判例 1972. 7. 1  151号 66頁 

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