概要情報
事件名 |
東海運 |
事件番号 |
大阪地労委昭和44年(不)第44号
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申立人 |
全国自動車運輸労働組合関西地区生コン支部 |
被申立人 |
東海運 株式会社 |
命令年月日 |
昭和47年 3月21日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
少数組合に対し、団交、組合掲示板の設置および休憩室の共同使用等を拒否した事件で、掲示板の設置、休憩室の共同使用、ポスト・ノーティスを命じ、他は棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、申立人組合の東海運分会員にかぎって使用を禁止している大阪陸運支店事務所に隣接する休憩室を従来どおり使用させなければならない。 また、上記の休憩室内に東海運分会の掲示板を設置させなければならない。 2. 被申立人は、縦1メートル、横2メートル以上の白色木板に、下記のとおり明瞭に墨書して、大阪陸運支店正門付近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。 記 全国自動車運輸労働組合 関西地区生コン支部 執行委員長 X1 殿 東海運分会 分 会 長 X2 殿 東海運株式会社 代表取締役 Y1 当社は、昭和42年11月24日以降貴分会の分会員が事務所に隣接する休憩室を使用することを正当な理由なく禁止し、また、昭和44年の賃上げ要求をめぐる団体交渉に誠意をもって応じようとしませんでした。 このようなことは労働組合法第7条第1号、第2号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、陳謝するとともに、今後このような行為をくり返さないことを誓約いたします。 以上大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。 3. 申立人の組合事務所にかかる申立ては、これを却下する。 4. 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
会社は、協力慰労金の支給に関する基準は明確にしていないが、分会長の早出率が低いことについてやむをえないと認められる事情の疎明もないことからみて、分会長に対する会社の措置が、同人の組合活動を嫌悪した会社の不当労働行為に由来するとは判断できない。
1203 その他給与決定上の取扱い
賃上げ内容を決定する付帯条件は、突然会社が持ち出したものではなく、以前から存在していたことが判明しており、会社が分会長しか該当者がいないことを承知して行なった差別扱いであるとの組合の主張は認められない。
2246 併存団体との関係
多数組合と妥結した協定内容を最終回答であるとすれば、少数組合である分会の団交権は否定されることになるから、別組合との妥結内容を押しつけようとするのみで、分会との協議を通じて円満に妥結しようとする姿勢が認められない会社の態度は不当労働行為であるといわざるを得ない。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
分会員が休憩室を使用することを禁止し、掲示板の撤去を強行した会社の態度は、分裂した組合に対して中立公正であるべき使用者としての責務を守らず分会員を従来の休憩室から締め出して分会組織の弱体化を企図した不当労働行為である。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
分会員の就業時間内の組合活動に対する会社の取扱いは、別組合員に対する取扱いと比較して不当な差別があるとは認められない。
5200 除斥期間
会社が、最初に分会員の休憩室使用を禁止したのは申立てより1年以上も前のことであるが、その後分会は、機会あるごとに使用させるよう要求し、これも会社が拒否しているのであるから、法第27条第2項の申立期間に関する制限規定の対象にはならないものと解する。
5200 除斥期間
特定の場所に設置されていた組合事務所を他の場所に移転する行為は、移転の完了をもって終了する1回かぎりのものであって、継続する行為とは認められず、したがって、移転行為が完結して1年以上を経過して申立てられた本件については、救済の対象とすることができない。
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業種・規模 |
水運業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集46集309頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1972. 7. 1 151号 71頁 
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