概要情報
事件名 |
大分銀行 |
事件番号 |
大分地労委昭和41年(不)第9号
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申立人 |
大分銀行従業員組合 |
被申立人 |
株式会社 大分銀行 |
命令年月日 |
昭和47年 3月17日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、職能給賃金体系の導入にあたり、申立人組合の組合員の賃金格付けを別組合の組合員と差別して低く格付した事件で、格付の是正、バックペイを命じポスト・ノーティス等は棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、申立人組合の組合員X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13の13名に対する昭和40年度の昇給、昇格については、再査定のうえ、格付の是正を行ない、同年4月分以降の諸給与の差額金を支払わなければならない。ただし、再査定にあたっては、同年令者の平均を下回ってはならない。 2. 被申立人は、申立人組合の組合員であったX14、X15、X16、X17の4名に対する昭和40年度の昇給、昇格については、再査定のうえ、格付の是正を行ない、同年4月分以降退職時までの諸給与の差額金を支払わなければならない。ただし、再査定にあたっては、同年令者の平均を下回ってはならない。 3. 申立人のその余の申立てはこれを棄却する。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
かって申立組合の活動家であった数名が、申立組合脱退後はすべて昇給、昇格していることから、昇給、昇格の格付で、組合員に不利益取扱をしたことは、組合員の動揺をねらい、組合の弱体化を意図した不当労働行為と判断せざるをえない。
1202 考課査定による差別
5121 挙証・採証
使用者側において、被救済者の成績が他の従業員に比し著しく劣っていた等、同人らが当時の人事考課において低く査定されたことの合理的根拠について明らかにし、反証しない限り、その考課が公平、かつ適正に行なわれたとは認めがたい。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
申立後退職した者あるいは死亡した者でも、被救済利益を放棄する旨申出なかった者については、賃上げ、それに伴う昇格時において、申立てにかかる他の被救済者と同様に申立組合員なるが故に不利益な処遇を受けた以上救済の対象に含め、退職に至るまで他の被救済者と同様の措置をとることが適当と認める。
4413 給与上の不利益の場合
本件は、昇給格付の集団的差別扱いを問題としたものであるから、被救済者全員について請求内容に対応する不当労働行為の立証はなく、各人に相当する職位、職能資格の立証は十分とはいえない。したがって、請求にかかる職位については、申立人側においてその職位の妥当性、合理性が明確に立証されない限り、これを認めることは企業の人事権に対す介入となるおそれがあり、使用者に再査定を命ずるほかない。
5200 除斥期間
当該年度の昇給、昇格が適正か否かの判断をするにあたり、その前提ないしは一要素として前年度の格付を判断することは除斥期間に抵触するものでなく、一個の不当労働行為の成否を判断するにあたり、その背景に横たわる労使関係を構成する諸事実について判断し、考慮することは何ら不合理なことではない。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集46集271頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 1972. 7.25 813号 68頁 
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