概要情報
事件名 |
丸善ミシン |
事件番号 |
大阪地労委昭和44年(不)第38号
大阪地労委昭和45年(不)第3号
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申立人 |
日本労働組合総評議会全国金属労働組合大阪地方本部丸善ミシン支部 |
被申立人 |
丸善ミシン 株式会社 |
命令年月日 |
昭和47年 2月25日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が経営合理化を契機に組合活動家を配転・懲戒解雇・出勤停止・譴責処分に付し、または配転をめぐる団交拒否など組合弱体化を図った事件で、申立てを認容し、処分取消し、バックペイ、不作為命令とポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、X1、X2、X3、X4およびX5に対する昭和44年8月14日づけ配置転換命令を取り消し、次の措置を含め、昭和45年1月13日以降同人らが解雇されなかったと同様の状態に回復させなければならない。 (1) 原職(原職なきときは原職相当職)に復帰させること。 (2) 昭和44年8月18日以降同人らが原職(原職なきときは原職相当職)に復帰するまでの間に受けるはずであった賃金相当額を支払うこと。 2. 被申立人は、X6に対する昭和45年1月16日より1月23日までの8日間の出勤停止処分を取り消し、その間に同人が受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。 3. 被申立人は、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13およびX14に対する昭和45年1月15日づけ譴責処分を取り消さなければならない。 4. 被申立人は、X1に対する昭和44年8月19日づけ譴責処分を取り消さなければならない。 5. 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木版に下記のとおり明瞭に墨書して、本社正門付近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。 記 年 月 日 日本労働組合総評議会全国金属労働組合 大阪地方本部丸善ミシン支部 委員長 X8 殿 丸善ミシン株式会社 取締役社長 Y1 当社は、貴組合および貴組合員に対し、下記の行為を行ないましたが、これらの行為は労働組合法第7条第1号、第2号および第3号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為をくり返さないことを誓約いたします。 記 1 正当な理由なくして貴組合員X1氏、同X2氏、同X3氏、同X4氏および同X5氏を昭和44年8月18日づけで配置転換し、これを拒否したことをもって同人らを懲戒解雇したこと。 1 上記配置転換をめぐる紛争の責任を追及するとして正当な理由なく貴組合委員長X5氏および同副委員長X6氏を出勤停止処分に付し、貴組合執行委員X7氏、同X8氏、同X9氏、同X10氏、同X11氏、同X12氏、同X13氏および同X14氏を譴責処分に付したこと。 1 昭和44年8月18日づけ配置転換について、協議事項でない等を理由に貴組合との団体交渉に誠意をもって応じようとしなかったこと。 1 昭和44年8月11日から8月15日までの有給休暇申請に関し、同年8月19日づけで貴組合員X1氏を正当な理由なく譴責処分に付したこと。以上大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。 |
判定の要旨 |
1102 業務命令違反
組合員および組合役員の配転拒否を理由とする懲戒解雇、出勤停止および譴責処分は、経営合理化により余剰人員が生じたことを契機に行われたものであっても、これらは組合活動家を排除し、組合弱体化を意図したものであって、いずれも不当労働行為といわざるを得ない。
1400 制裁処分
会社は、組合員X1が請求した有給休暇を正当な理由なく欠勤扱いにするにとどまらず譴責処分に付したのは、明らかに組合活動の故の差別取扱いであり、不当労働行為であるといわざるを得ない。
2301 人事事項
配置事項にかかる団交は、人事権に関するものであり交渉の対象外であるとして拒否した会社側の態度は一方的であり、妥当でないと認められ、不当労働行為であるといわざるを得ない。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
会社が組合委員長に対し、配転をめぐる紛争責任を追及し、出勤停止処分に付したのは不当労働行為にあたるが、同人は、その後退職しているので、救済としては、陳謝文の掲示を命ずることとする。
4820 単一組織の支部・分会等
会社は、組合の同盟罷業開始の手続に関する規約条項が、労組法に定める要件を欠いているとして、不当労働行為の救済を申立てる当事者適格がないと主張するが、規約上十分に要件が充足していると認められるので会社側の主張は失当である。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集46集195頁 |
評釈等情報 |
 
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