概要情報
事件名 |
中野組 |
事件番号 |
埼玉地労委昭和46年(不)第4号
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申立人 |
総評全日本建設産業労働組合 |
被申立人 |
株式会社 中野組 |
命令年月日 |
昭和47年 2月24日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
分会長に対する成績不良を理由とする退職勧奨、46年賃金・一時金の組合間差別、組合事務所の返還とチェック・オフを中止した事件で、賃金・一時金の組合間差別是正、組合事務所の返還、チェック・オフの中止に対する不作為命令と謝罪文の手交を命じ、社内報への謝罪文の掲示等については棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人会社は、申立人組合の中野組分会組合員に対し、昭和46年度春期ベースアップ、夏期一時金および生産性向上一時金について、中野組従業員労働組合の組合員に支給したと同額((1)昭和46年度春期ベースアップ本給の 20.28%1人あたり平均 8,600円 (2)夏期一時金1人あたり平均 105,000円 (3)生産性向上一時金1人あたり20,000円) の割合をもって昇給、支給しなければならない。 2. 被申立人会社は、申立人組合の中野組分会委員長X1に対し、正当な組合活動の故をもって退職を勧奨してはならない。 3. 被申立人会社は、申立人組合の中野組分会に対し、現に使用中の組合事務所の返還を請求してはならない。 4. 被申立人会社は、申立人組合の中野組分会の組合費チェックオフを従前どおり続けて行なわなければならない。 5. 被申立人会社は、下記陳謝文を日本工業規格B列4判の用紙に明瞭に墨書して、この命令を受けた日から3日以内に、申立人組合に交付しなければならない。 記 昭和 年 月 日
総評全日本建設産業労働組合 殿 株式会社 中野組 代表取締役 Y1 陳 謝 文 当会社が、貴組合の中野組分会組合員に対し、昭和46年度春期べースアップ、夏期一時金、生産性向上一時金について中野組従業員労働組合の組合員と同額を支給しなかったこと、貴組合の中野組分会委員長X1氏に対し退職を勧奨したこと、中野組分会の事務所の返還を請求していることおよび中野組分会の組合費チェックオフをとりやめたことは、みな労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝するとともに今後このような行為はくり返さないことを誓います。 以上埼玉県地方労働委員会の命令により手交します。 6. 申立人のその余の申立てはこれを棄却する。 |
判定の要旨 |
1301 出向
2610 職制上の地位にある者の言動
会社幹部は、分会委員長に対し何らの理由を示さず退職勧奨を行っているが、真の理由は、同人の組合活動の故に退職を迫ったものと認められるので、この会社の言動は不当労働行為に該当する。
1201 支払い遅延・給付差別
期末業績手当の支給は、社員のみに支給され、工務員には組合員であると否とを問わず支給されないことが当事者間において争いのないことであるから、組合弱体化を意図したものとは認られず不当労働行為にあたらない。
1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
会社が、組合の春季賃上げ交渉中に別組合と交渉妥結して賃上げを実施したので、組合は別組合と同額の支給を求めたが、組合との団交では妥結に至っていないとの理由で賃上げ実施を拒否しているのは、組合弱体化を意図した不当労働行為と認められる。
2120 交渉委任
会社の委任を受けた本社労務部長、関東工作所長など当事者能力のある者が団交に応じている以上、不当労働行為にあたらない。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が、組合に対し正当な理由がなく組合事務所の返還を請求し、チェック・オフを中止し、別組合と差別取扱いをなしたことは、組合の既得の利益を侵害する不当労働行為である。
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業種・規模 |
建設業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集46集185頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1972. 6. 1 148号 61頁 
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