労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  八代商事 
事件番号  徳島地労委昭和46年(不)第9号 
申立人  総評全国一般労働組合徳島地方本部 
被申立人  八代商事 株式会社 
命令年月日  昭和47年 2月22日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含 む) 
重要度   
事件概要  会社が支部結成の中心である組合員らを配転させたり、配転させよう としたり、解雇しようとしたことおよびその前後に会社職制が支配介入をはかった事件で、不利益配転、解雇通告などにつきポス ト・ノーティスを命じたが、その余は棄却した。 
命令主文  被申立人は、本命令書交付の日から7日以内に、下記陳謝文を縦 1メートル、横 1.5メートルの大きさの模造紙に墨書し、被申立人会社脇町工場食堂内の従業員が見やすい場所および同川田工場内の従業員が出退社のさいに見やすい場所にそれぞれ7日間掲 示しなければならない。
            記
                   年   月   日
総評全国一般労働組合徳島地方本部
 執行委員長 X1 殿
               八代商事株式会社
                代表取締役 Y1
 会社は、昭和46年7月17日X2を大阪本社へ転勤させようとしたこと、同年同月19日X3を川田工場から脇町工場へ転勤 させたことおよび転勤後しばらく同人を適当な職務につけなかったこと、同月20日X4を三加茂町の下請工場へ転勤させようと したことおよびその前後に組合活動をやめるよう言ったり、組合を脱退するよう勧誘したこと、同月20日X5を解雇しようとし たことおよびその後しばらく同人を適当な職務につけなかったことは、いずれも貴組合に対する支配介入にあたり、不当労働行為 であることを認め、ここに陳謝します。 
判定の要旨  1602 精神・生活上の不利益
3411 その他の従業員の言動
会社が組合活動家X5の妻の内職用ミシンを引上げたことは、当該業務担当者の独自の判断権限により行われた措置であり、不当 労働行為とは認められない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社課長が組合員X4に対し、組合活動をやめるようにいったこと、または組合脱退勧奨の言辞は、組織弱体化を図ろうとする支 配介入である。

2801 団体運営に関する補助金支給
親睦団体の規約では、会社からの寄付金を受けられるようになっているが、現実に会社の経費援助が行なわれていない以上、申立 人組合に対する支配介入にはあたらない。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が組合員X3を支部結成の動きが顕著となってから、自動車安全運行上支障があるとして配転させたことは、組合結成活動を 妨害しようとの意図で行なった支配介入と認めざるを得ない。

1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X3を転勤させたあと、会社が、同人に仕事を与えず、守衛の手伝いをさせていたことは、合理的理由がなく同人の支部結 成活動を妨害する意図に出たものと認められる。会社が、組合加盟用紙を配るなど活発な組合活動をしていた組合員X4を遠隔地 へ配転させようとしたことは、支部結成活動を妨害しようとの意図が明かであり、支配介入と認めざるを得ない。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、組合員X5を労働意欲の欠如などの理由で解雇したことは、その理由に合理性がないことなどからみて、会社が支部結成 を察知し同人を企業外に排除しようとしたもので、その後解雇を撤回したとはいえ、組合に対する支配介入と認めざるを得ない。

1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X5の解雇撤回後の職務の割当が守衛の手伝いをさせるだけでは、会社の生産体制からみて合理的理由がなく、会社のいや がらせ的なものとみるのが妥当であり、不当労働行為と認めざるを得ない。

2621 個別的示唆・説得・非難等
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合三役の大阪本社出張は、会社に支配介入の意図があるとするなら、組合がこれに応ずる必要はないのに、これにあえて従った こと、および社長の組合三役に対する発言内容からみて会社の支配介入とは認められない。

3411 その他の従業員の言動
別組合幹部による組合員に対する組合大会への不参加呼びかけは、会社との結びつきによるものではなく、単に、別組合の組織拡 大のための活動とみられるので、支配介入とはいえない。

3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
会社幹部が組合支部結成の動きが活発になった時期に、突然その中心人物X2を配転させようとしたことは、支部結成を察知した 会社が、組合結成を阻害しようとの意図で行なったとみるのが相当である。

業種・規模  なめし革・同製品・毛皮製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集46集172頁 
評釈等情報   

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