労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大日本発送 
事件番号  徳島地労委昭和45年(不)第3号 
徳島地労委昭和45年(不)第5号 
申立人  総評全国一般労働組合徳島地方本部 
被申立人  大日本発送 株式会社 
命令年月日  昭和47年 1月29日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が上部組合からの脱退を図り、組合を中傷し、本件調査に出頭する組合幹部に対し有給扱いを拒み、メーデー参加組合員の賃金を控除し、親睦会への援助をしたり、組合組織問題の団交を拒否し、組合員に対する昇給上の差別をしたことをめぐって争われた事件で、有給扱い、賃金控除の申立てを認容したほか、陳謝文の手交を命じたが、他は棄却した。 
命令主文  1. 被申立人は、申立人に対し、本命令書交付の日から7日以内に、下記陳謝文を手交しなければならない。
2. 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。
            記
                   年   月   日
総評全国一般労働組合徳島地方本部
 執行委員長 X1 殿
              大日本発送株式会社
               代表取締役 Y1
 会社は、昭和44年年末一時金交渉過程や昭和45年個人面接において、貴組合を嫌悪する態度をとったこと、X2支部長の本事件調査の出席や貴組合のメーデー参加に関して妨害的態度をとったことは、いずれも貴組合に対する支配介入にあたり、不当労働行為であることを認め、ここに陳謝します。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
昇給額決定の基礎となる考課評価項目は、組合支部長も含めた課長会議で了承されたものであり、支部長も従業員の過半数を評価しており、利益代表者の主観が入り難く、特に評価の低い者を会社が調整したに止まるのであって、昇給額の差は各人の基本給と考課の採点結果によるもので差別扱いではない。

2307 その他
組合員の脱退は、組合内部の問題に起因したものであり、これについての組合との団交で、会社が支配介入事実を否定して深くとりあわないからといって、これをもって団交拒否と考えることはできない。

2621 個別的示唆・説得・非難等
X3らの組合脱退行為は、会社側に出入りする組合支部長の言動に対する疑惑と不信からなされたものであり、結果的に会社の歓迎する行動となったとしても、このことをもって会社の働きかけによるものとは推認しがたい。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
社長以下会社側の従来からの発言は、総評系である組合本部を嫌悪し、企業内組合に組織がえをさせようとする意思の表明とみられ、団交の席上における発言も、たとえ威嚇や利益の誘導を伴なっていなくても組合に対する支配介入行為にあたる。

2621 個別的示唆・説得・非難等
組合員の集団脱退は、支部に対する信頼の欠如とX3らの脱退の影響によるものとみられ、会社には不信感がないところから会社の個別面接による支配介入の結果とは認めがたい。

2500 別組合の結成・援助
2501 親睦団体の利用
会社は、心和会を単なる親睦団体としか認めず、労働条件等の交渉の窓口は組合のみと言明しており、審問の証言を総合しても組合に対抗する第二組合的な団体とは認められないから結成当日に残業が中止され、会社役員が招待され酒食をともにしたとしても支配介入とはいえない。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
3700 使用者の認識・嫌悪
労働契約上特段の定めのない限り、労務の提供がなければ賃金の支払義務がないことは一般論としては明らかだが、会社には有給による外出の慣行があるのに、組合支部長の要求に対してのみ、これを認めない旨申渡したことは組合活動を嫌ういやがらせであり、結果的に賃金カットがなかったとしても支配介入にあたる。

2802 福利厚生資金に関する寄付・貸付等
3201 不当労働行為とされなかった例
組合員X4は、退社にあたりせんべつ金の名目で3,000円を渡され、翌日団交の場で支部長を通じて返した事実があるが、これが本事件の証人として会社が不利な証言を封ずるための口止料ならば不当労働行為であるが、この点に関しては信ずるに足る十分の疎明がない。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が例年執行部のメーデー参加に有給を認めていたのであるから、組合員の全員有給参加拒否はよいとしても、執行部のみの有給参加まで応じなかったことは、合理的な理由を見出せず、組合員に対し、容易に組合活動をさせないよう行なったいやがらせとみるのが相当である。

業種・規模  運輸に附帯するサービス業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集46集123頁 
評釈等情報  労働判例 1972. 6. 1  148号 52頁 

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