概要情報
事件名 |
大幸銘鈑工業 |
事件番号 |
大阪地労委昭和45年(不)第41号
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申立人 |
総評大阪一般合同労働組合 |
被申立人 |
大幸銘鈑工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和46年12月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
組合事務所の貸与・労災補償・三交替勤務・新賃金制度等に関する団交拒否、ビラ配布活動の規制、組合事務所の貸与拒否、会社次長の組合を中傷する発言、組合旗の撤去、就業時間中の組合活動について組合間差別・職場秩序びん乱を理由とする分会員の懲戒解雇などをめぐる事件で、懲戒解雇の取消し、原職復帰、バックペイ、組合事務所の貸与、文書配布等の組合活動についての組合間差別の禁止、ポスト・ノーティスを命じ、その他は棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、X1に対し、次の措置を含め、昭和45年6月15日以降、同人が懲戒解雇されなかったと同様の状態に回復させなければならない。 (1) 原職に復帰させること。 (2) 懲戒解雇の日から原職復帰の日までの間、同人が受けるはずであった賃金相当額(大阪地方裁判所の決定に基づいてすでに支払った金員を除く)を支払うこと。 2. 被申立人は、申立人に対し、速やかに組合事務所を貸与しなければならない。 3. 被申立人は、申立人の文書配布等の組合活動について、大幸銘鈑労働組合と差別してはならない。 4. 被申立人は、縦3メートル、横2メートルの白色木板に、下記のとおり墨書して、被申立人会社高槻工場(大阪府高槻市緑町19番6号)の正門付近の従業員の見やすい場所に、1週間掲示しなければならない。 記 年 月 日 総評大阪一般合同労働組合 執行委員長 X2殿 大幸銘鈑工業株式会社 取締役社長 Y1 当社は、下記の行為を行ないましたが、これらの行為は、労働組合法第7条第1号、第2号および第3号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為を繰返さないことを誓約します。 記 1. 昭和45年6月15日、X1氏を懲戒解雇したこと。 1. 組合事務所と労働災害特別補償に関する団体交渉において、検討中との回答を繰返し、誠意をもって交渉に応じなかったこと。 1. 新賃金制度に関する団体交渉において、格付の具体的根拠、基準等同制度の具体的運用方法を明示しなかったこと。 1. ビラの記載内容をチェックするとともに、ビラ配布活動を妨害、阻止したこと。 1. 昭和45年3月26日締結の和解協定を履行せず、組合事務所を貸与しなかったこと。 1. 総務部次長Y2が、組合活動に介入する言動をしたこと。 1. 組合旗を一方的に撤去し、また組合活動の取扱いについて大幸銘鈑労働組合と差別扱いをしたこと。 以上、大阪地方労働委員会の命令により掲示します。 5. 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
0600 暴力行為
0700 職場規律違反
3700 使用者の認識・嫌悪
分会員X1に対する懲戒解雇理由である、暴行脅迫行為、他職場への無断立入り、会社幹部に対する誹謗、中傷、命令への反抗等の事実については、いずれも一方的に同人のみを非難し、問責することは酷に失するものと認められるので、本件解雇は、同人の組合活動を嫌悪してなした不利益扱いである。
2245 引き延ばし
2247 解決済
組合事務所の貸与要求に対して、何ら具体的貸与条件を掲示せず、検討中との回答を繰り返した会社の態度は、組合事務所を速やかに貸与することを前提に締結された別件和解協定を、正当な理由もなく一方的に無視したもので、誠意ある団交とは認められない。
2245 引き延ばし
2302 労務管理・労使関係
労災特別補償要求に対して、検討中とのみ繰返し、その検討内容さえ具体的に示さなかった会社の態度は、形式的に団交に応じているのみで、誠意ある団交とは認められない。
2240 説明・説得の程度
2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
新賃金制度等について、会社は組合と10数回の団交を重ね、説明していることからみて、会社が、組合要求に応ぜず、会社回答に固執したことをもって、直ちに団交拒否と断ずることはできない。
2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
新賃金制度自体の抽象的説明のみをもってしては、格付および賃金額が具体的に明らかとならない以上、組合が、賃金決定の基礎的要素たる格付の根拠、具体的基準など同制度の具体的運用のあり方を質したことは十分理由があり、人事権を口実に何ら具体的に明示しないことは団交拒否にあたる。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
朝礼において組合を中傷した会社次長の発言は、組合が大多数の従業員から孤立し、会社と激しく対立しているなかで、多数の従業員を前にして行なわれたこと、発言内容には組合にとって不利益な言辞が含まれ、組合が蒙った不利益は無視しえないこと等からみて、支配介入行為といわざるを得ない。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
3103 労働協約締結をめぐる行為
会社が、他労組には組合結成後間もなく事務所を貸与しながら、申立組合に貸与しないこと自体、一方的に他労組を優遇し、申立組合を不利益に取扱うものであり、また、合理的理由もなく、組合事務所の貸与を約した別件和解協定を履行していないことなどからみて、支配介入行為といわざるを得ない。
0200 宣伝活動
3800 行為の結果・その他
会社が分会の些細な記載不備を誇張非難し、また、分会の見解、主張に干渉してその訂正を強要したり、ビラの配布を妨害し、配布済みのビラを回収したことは、本件労使関係の特異な経緯から、ビラ配布が届出制となっていることを奇貨としてなした支配介入行為である。
3020 組合活動への制約
組合旗の掲揚は、事前に届出て行なわれた正当な組合活動であるにもかかわらず、会社が、これを一方的に撤去し、しかも、容易に組合に返還しようとしなかったことは、組合活動に対する不当な妨害であり、支配介入行為といわざるを得ない。
2901 組合無視
3020 組合活動への制約
3701 他組合等との関係
他労組に対しては、文書の配布、執行委員会の開催、印刷物の印刷、組合事務所への出入等就業時間内の組合活動を認めながら、組合に対しては一切これを認めず、かつ、その理由を明示していないことは、組合の弱体化を意図した支配介入行為である。
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業種・規模 |
プラスチック製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集45集561頁 |
評釈等情報 |
 
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