労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  中央観光 
事件番号  大阪地労委昭和45年(不)第81号 
大阪地労委昭和45年(不)第82号 
申立人  全自交 中央観光労働組合 
被申立人  中央観光 株式会社 
命令年月日  昭和46年12月 9日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含 む) 
重要度   
事件概要  組合を結成し、上部組合に加入したところ、会社はこれを嫌悪して、 上部組合脱退を強要、組合役員ら6名を運転料金着服を理由に解雇したうえ、これを因に委員長を退職させるとともに、これらの 問題に関する団交を拒否した事件で、原職復帰、バックペイ、ポスト・ノーティス等を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、X1およびX2に対して、次の措置を含め、昭和 45年11月26日づけおよび昭和46年3月23日づけの懲戒解雇がなされなかったと同様の状態に回復させなければならな い。
(1) 原職に復帰させること。
(2) 昭和45年11月27日から原職復帰までの間に、同人らが受けるはずであった賃金相当額(大阪地方裁判所の決定に基 づいてすでに支払った額を除く)を支払うこと。
2 被申立人は、X3に対して、同人の業務上の負傷が治ゆしたのちにおいても、同人が昭和45年9月26日~28日の富士五 湖方面へのバス運行において、料金を着服横領したとして懲戒解雇その他の不利益取扱いをしてはならない。
3 被申立人は、X4に対して、次の措置を含め、昭和45年12月4日づけの退職届による退職がなされなかったと同様の状態 に回復させなければならない。
(1) 原職に復帰させること。
(2) 昭和45年12月5日から原職復帰の日までの間に、同人が受けるはずであった賃金相当額を支払うこと。
(3) 昭和45年12月4日、同人が提出した退職届を返還すること。
4 被申立人は、申立人組合が存在しないことならびに申立人組合の役員に被解雇者が含まていることを理由に、申立人との団体 交渉を拒否してはならない。
5 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの木板に、下記のとおり明瞭に記載して、被申立人城東営業所内の見やすい場所に 1週間掲示しなければならない。
                記
                     年  月  日
  全自交中央観光労働組合
   執行委員長 X4 殿
               中央観光株式会社
                代表取締役 Y1
 当社が、(1)貴組合書記長X1氏ら6名を懲戒解雇したこと、(2)貴組合執行委員長X4氏を、同人の意思に反して退職扱 いにしたこと、(3)貴組合との団体交渉を正当な理由なく拒否したこと、ならびに(4)貴組合員を軟禁状態にしたり、貴組合 員に対して貴組合からの脱退をすすめたりしたことは、労働組合法第7条第1号、第2号、第3号に該当する不当労働行為である ことを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。
 以上、大阪地方労働委員会の命令によって掲示します。
6 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0900 不正行為
組合役員ら6名が着服したとされた料金は、業界ならびに当該会社の取扱い例、および金銭収受の経緯からみて明らかにチップと 認められ、しかも、被解雇者個々人を威嚇して不当な報告書を提出せしめていることなどからみて、不当労働行為と判断される。

4100 退職届けの提出
委員長の退職届は、会社の威嚇と組合役員の解雇など一連の会社の不当が措置が一切解消すると誤信させられて提出したものと認 められるから、これに基づき同人を退職扱いとした措置は、不当労働行為である。

2121 被解雇者
被解雇者が組合役員になっているなどを理由に団交を拒否したことは正当理由とは認められない。

2700 威嚇・暴力行為
委員長を軟禁状態にして、威嚇的言動を繰り返したことは、組合の壊滅をはかるために行なった諸言動の一環であって、支配介入 行為と判断される。

業種・規模  道路旅客運送業(バス専業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集45集501頁 
評釈等情報   

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