概要情報
事件名 |
高志タクシー |
事件番号 |
福井地労委昭和44年(不)第5号
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申立人 |
全国自動車交通 労働組合 福井地方連合会 |
申立人 |
高志バス・タクシー労働組合 |
被申立人 |
有限会社 高志タクシー |
命令年月日 |
昭和46年12月 8日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
上部組合指導の下に組合が結成されて以来、会社の組合否認的態度が強く、組合のストに報復して、不利益配転、賃金、一時金の不払い、車輛の不当割当て、上部組合脱退強要等が行なわれた事件で、不利益取扱いの是正、支配介入行為の禁止を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1、X2、X3およびX4に対して昭和43年1月5日以降4月18日までならびに同年5月8日以降9月29日までの間、同人らが時間外労働をしていたら得たであろう時間外労働手当および歩合給を含む賃金相当額を支払わなければならない。 ただし、上記賃金相当額の支払いにあたっては、すでに支払われている分については控除するものとする。 2 被申立人は、X5およびX6に対して昭和43年9月1日から同月29日までの間、同人らが観光バス運転手として勤務していたら得たであろう賃金相当額を支払わなければならない。 3 被申立人は、X5、X6、X1、X2、X3およびX4に対して昭和43年夏期一時金を1人平均62,500円ならびに同年度冬期一時金を1人平均67,500円を支払わなければならない。 ただし、冬期一時金の支払いにあたっては、すでに支払われている分については控除するものとする。 4 被申立人は、今後、高志バス・タクシー労働組合員のタクシー運転手の担当車に新車を与えなかったり、あるいは冷房設備を装備しないなどの方法により非組合員であるタクシー運転手の担当車と差別してはならない。 5 被申立人は、高志バス・タクシー労働組合員に対して上部団体からの脱退勧奨組合誹謗あるいは組合旗を撤去するなどの方法により組合の運営に支配介入してはならない。 6 申立人のその余の請求は棄却する。 |
判定の要旨 |
0420 その他の争議行為
不当な業務命令を拒否したことから賃金不払いが生じ、仮処分決定にも会社が従わないため、組合が不払い賃金を獲得する手段として会社の車を使用して営業を行ない水揚げを仮処分執行官に保管してもらった行為をもって、違法な生産管理とみることはできない。
1201 支払い遅延・給付差別
観光バス運転手からタクシー運転手への配転が不当労働行為である以上、これを拒否したことを理由とする賃金不払いも不当労働行為と断ずることができる。
0412 順法闘争・残業拒否
1300 転勤・配転
観光バスの運転には時間外労働が伴うから、時間外労働を拒否するようなものには任せられないとしてタクシー部門に配転したことは、当該時間外労働拒否が正当な組合活動と認められる以上、これに対する報復的な抑圧手段をみるほかなく、不当労働行為である。
1302 就業上の差別
2900 非組合員の優遇
組合員には能率の悪い中古車を割当てながら、水揚上げ成績不良を理由に、新車の割当てを拒否し続けたことは、組合員なるが故の差別待遇と認められる。
1302 就業上の差別
1603 組合活動上の不利益
3102 争議対抗手段
36協定不存在等を理由とする組合員に対する時間外労働拒否は、組合のスト直後に行なわれ、かつ、同協定のない非組合員には命じていること、しかもこのため組合員の収入が激減していることなどからみて、ストを抑制するための不利益取扱いであると認められる。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
たとえ組合員との雑談の中で出たことであっても、専務が上部組合を非難し、これから脱退するよう発言したことは、支配介入行為といわざるを得ない。
3020 組合活動への制約
会社の施設管理権も、組合の団結権に基づく組合活動との関係で調和的に制限されるものであるから、業務遂行上格別の支障もないのに、組合の団結意識高揚の必要から揚げられた組合旗を一方的に撤去したことは、支配介入行為であると判断せざるを得ない。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
賃金不払い等の不利益取扱いを受けた組合員がその後退職し、その際に精算を了している場合は、非救済利益を放棄したものと認められる。
4407 バックペイの支払い方法
組合員の時間外労働を拒否したこのが不当労働行為と認められる以上、これが是正にあっては、時間外労働をしていたら得たであろう手当相当額の支払いを命ずることが相当である。
4407 バックペイの支払い方法
4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
配転が不当労働行為と認められる以上、組合が同人らの原職復帰を求めていなくても、配転されなかったら得たであろう賃金相当額の支払いは命ずべきである。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集45集478頁 |
評釈等情報 |
 
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