概要情報
事件名 |
大和製衡 |
事件番号 |
兵庫地労委昭和42年(不)第6号
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申立人 |
日本労働組合 総評議会 全国金属労働組合兵庫地方本部大和製衡支部 |
被申立人 |
大和製衡 株式会社 |
命令年月日 |
昭和46年12月 6日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
企業内に複数の組合が存在するなかで、昇給査定について中立組合員全員を低位に査定した事件で、査定基準による平均点を下回らないよう是正し、その結果の通知とポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、昭和42年度昇給における、その当時申立人組合の組合員であった者に対する賃金査定を、その平均が同年度賃金査定基準による平均(0位)を下回らないように是正し、その当時から現在に至るまで引続き同組合の組合員である者に対し、同年度昇給時以降の賃金差額を支払うこと。 2 被申立人会社は、申立人組合に対し、昭和42年度昇給における賃金査定を受けた、同組合の組合員全員につき、前項により査定を是正した結果を、段階により、個人別に原査定結果と対照表示した一覧表をもって通知すること。 3 被申立人会社は、本命令交付の日から7日以内に、縦60cm横90cmの木板に上記第1項の命令があった旨を墨汁で明記し、被申立人会社の正面附近で一般従業員のみやすいところに掲示し、少なくとも10日間これを存置すること。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
立証された範囲における個別組合員の査定をみても合理性が認められないだけでなく、組合分裂以前の査定では、組合員も査定基準の平均点を中心に正規分布していたのに、卒然として低位に査定され、かつ、第2組合に転属した者は上位に逆転査定していることからみて、不当労働行為と認められる。
4102 承認・合意
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
不利益取扱いを受けた者が、その後退職等により組合員でなくなっても、組合については団結権を侵害された範囲で、これが是正を求める利益は存続していると認めるべきであるが、救済の必要性の観点からは、結審時において組合員たる地位を有する者に限定して差支えない。
4415 賃金是正を命じた例
4610 P.Nに併せて文書手交を命じた例
昇給査定上の集団的不利益取扱いの救済として、不利益の是正に付加して、ポストノーティスを命じた例
5008 その他
労委の与える救済は、請求する救済内容に拘束されるものでなく、申立てにかかる不当労働行為を構成する事実に基づき、申立ての趣旨に反しない限度で自由に裁量し得るものである。
5008 その他
不当労働行為は、私法上の法律効果を確認もしくは形成する手続ではないから、賃金請求権としては時効により消滅したとしても、正常な労使関係の回復を図るために救済することの妨げになるものではない。
5121 挙証・採証
賃金査定における集団的不利益取扱いの証拠調べでは、必ずしも関係労働者全員につき、労働実績や査定の当否を逐一探求しなければならないものではなく、不当な差別が行なわれたか否かを判断し得る程度で十分である。
5121 挙証・採証
救済申立ての対象は、申立書の記載その他による不当労働行為を構成する事実として組合が主張するところによって決めるべきもので、請求する救済の内容の表示によって決まるものではない。
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業種・規模 |
精密機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集45集454頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 昭和47年7月25日 813号 61頁 
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