労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  藤井グラスビーズ 
事件番号  大阪地労委昭和46年(不)第11号 
申立人  総評全国一般労働組合大阪地方連合会藤井グラスビーズ労働組合 
被申立人  藤井グラスビーズ 株式会社 
命令年月日  昭和46年12月 6日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社を解散して全員を解雇した事件で、解雇がなかったものとして賃金相当額を支払うこと、生産業務再開の際には就労させることおよびポスト・ノーティスを命じ、原職復帰および陳謝文の手交については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員らに対して、昭和45年11月13日付けの解雇がなかったものとして取扱い、かつ、解雇日以降同人らが受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人は、その生産業務を再開した時は、申立人組合員らを解雇当時と同等の労働条件で就労させなければならない。
3 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に、下記のとおり墨書して、本社、豊中工場および春日工場の各正面入口付近の申立人組合員らの見やすい場所に、1週間掲示しなければならない。
                記
   年  月  日
 総評全国一般労働組合大阪地方連合会
 藤井グラスビーズ労働組合
 執行委員長 X1 殿
               藤井グラスビーズ株式会社
               代表精算人 Y1
 昭和45年11月、当社を解散し、貴組合員全員を解雇したのは、貴組合の活動を嫌悪したためであることを認め、ここに陳謝します。
 以上、大阪地方労働委員会の命令によって掲示します。
4. 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1800 会社解散・事業閉鎖
会社解散ならびにそれに伴う解雇は、会社の主張するような経営悪化によるものではなく、組合を嫌悪してきた会社が、その意図する台湾進出を強力におし進めるために、これに障害となる組合を、企業内から一挙に排除しようとしてなされたものであって、不当労働行為といわざるをえない。

4102 承認・合意
退職金等を被保全権利とする仮差押申請およびその本案訴訟の提起は、会社が解散して精算に入っているという状況から、地位保全の仮処分申請等において敗れた場合を考え、予備的に行なっているものであると認められるので、それをもって組合員らが解雇を承認したものと速断できない。

4402 企業閉鎖・偽装解散と救済
会社が、事業を窮極的に廃止する意思をもって解散を行なったとは認め難く、また直ちに再開する基盤も十分存するのであるから、会社が近い将来において生産業務を再開する可能性ははなはだ濃厚である。そこで、主文2のとおり命ずることにした。

4405 バックペイから他収入控除
会社は解散したが、機が熟すれば直ちに生産業務を再開し得る人的・物的諸条件を維持しながら存続しているものと判断される。そこで、主文1のごとく、解雇がなかったものとして賃金相当額を支払うように命ずるのであるが、原職ないし同相当額は存在しないので、原職復帰は命じられない。

業種・規模  その他の製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集45集432頁 
評釈等情報  労働法律旬報 河村武信  S47-3-25   805号 64頁 

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