事件名 |
平和タクシー |
事件番号 |
群馬地労委昭和44年(不)第3号
|
申立人 |
平和タクシー労働組合 |
申立人 |
X1 |
被申立人 |
平和タクシー 株式会社 |
命令年月日 |
昭和46年11月29日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
|
事件概要 |
旧労への加入意思を有する試用者X1の解雇と、この解雇に関する団
交の拒否について労働委員会にあっせん申請した組合役員に対する処分をめぐる事件で、X1の本採用・バックペイ(受べかりし
賃金相当額の2分の1)、試用者の労働条件に関する団交応諾、組合役員に対する譴責処分の取消しを命じ、使用者の旧労加入妨
害排除、陳謝文掲示、新労加入強要排除請求は棄却した。 |
命令主文 |
1.被申立人は、X1に対する昭和44年8月13日付けの解雇を取
り消し、同年8月17日付けで本採用にするとともに、解雇の日から復職に至るまでの間同人が受けるはずだった賃金相当額の2
分の1の額から、既に支給した解雇予告手当の額を差し引いた額を支払わなければならない。
2.被申立人は、申立人組合が申し入れた試用従業員の労働条件に関する団体交渉を、正当な理由なく拒んではならない。
3.被申立人は、X2、X3、X4およびX5に対する昭和44年9月16日付けの譴責処分を取り消さなければならない。
4.被申立人は、第1項および第3項について、その履行状況をすみやかに当委員会に報告しなければならない。
5.申立人のその余の申し立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
就業時間内に、あっせん申請のために労働委員会に出向くことが慣行として認められていたにも拘らず、申請事項が非組合員X1
の解雇撤回であるが故に、これを理由に組合三役を譴責処分に付したことは、正当な組合活動に対する不当な介入といわざるを得
ない。
0500 勤務成績不良
接客態度不良を理由とする試用者X1の解雇は、試用者の本採用登用・車両割当てに関しての組合間差別、X1の解雇に関する申
立組合の団交申入拒否の事実からみて、X1の申立組合加入意思を察知した会社が、対立関係にある申立組合の弱体をはかってな
されたものと認めざるを得ない。
2301 人事事項
非組合員の労働条件でも、組合の団結権に関係ある場合は、団交の対象となり得るとの判断から、組合加入意思を有する非組合員
X1の解雇撤回につき団交を申入れたことには理由があり、X1が非組合員であることを理由にこれを拒否した行為は、7条2号
に 該当する不当労働行為である。
4000 退職金等の受領
4200 組合解散・消滅
その場の雰囲気に左右されて一時的に退職の意を表明し、解雇予告手当を受領したとしても、翌日退職の意を撤回し同手当の返却
を申し出ていること、本件についての解決方法を組合に一任していることからみて、解雇についての合意が成立したとは認められ
ない。
4102 承認・合意
被解雇者に原職復帰の意思がないとしても、同人の解雇によって、組合の団結権が侵害されていれば、この点についての救済利益
は存在すると考えるべきである。
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
4408 バックペイが認められなかった例
被解雇者がすでに他社に就職し、原職復帰を強く希望しない場合、原状回復という目的を適切かつ合理的に具現する方法として
は、原職復帰のほかに受べかりし賃金相当額2分の1を控除してバックペイを命ずるのが適当と判断する。
4612 P.Nに替えて他の措置を命じた例
5003 第二組合、その他の組織に関する請求
試用者の旧労加入妨害排除、陳謝文掲示の請求は、主文をもって足ると判断され、また、試用者の新労加入強要排除の請求は、そ
の事実を十分認められないので棄却する。
|
業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集45集387頁 |
評釈等情報 |
|