労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪中央病院 
事件番号  大阪地労委昭和41年(不)第143号 
大阪地労委昭和42年(不)第53号 
大阪地労委昭和43年(不)第59号 
申立人  大阪一般労働組合 
被申立人  健康保健組合連合会大阪中央病院 
命令年月日  昭和46年11月25日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  分会員に対する一時金の減額支給、分会との団交拒否をめぐる事件で、病気欠勤による減額を除く減額金額の支給、団交応諾、陳謝文の手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1に対し、昭和40年年末、昭和41年夏季、同年末(特賞 0.1カ月分を含む)、昭和42年夏季、同年末および昭和43年夏季の各期にそれぞれ支給した一時金について、それぞれ減額がなかったものとして取扱い、その減額分を支給しなければならない。
2 被申立人は、申立人組合員X2に対し、昭和40年年末、昭和41年夏季、同年末(特賞 0.1カ月分を含む)、および昭和42年夏季の各期にそれぞれ支給した一時金について、それぞれ減額がなかったものとして取扱い、その減額分を支給しなければならない。但し、昭和41年年末の病気欠勤による減額分28,610円を除くものとする。
3 被申立人は、昭和37年4月13日締結の「覚書」と給与規程を議題とする団体交渉申し入れに対し、誠意をもって応じなければならない。
4 被申立人は、申立人に対し、下記の陳謝文を速やかに手交しなければならない。
                     年  月  日
                記
  大阪一般労働組合
      委員長 X3 殿
                 健康保健組合連合会
                 大阪中央病院
                   院長 Y1
  当病院は、下記の行為を行ったことは、労働組合法第7条第1号、第2号および第3号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝いたします。
                記
1 組合員X1氏およびX2氏に対し、一時金を査定減額したこと。
1 昭和37年4月13日締結の「覚書」、給与規程および組合活動の取扱い等を議題とする団体交渉に応じなかったこと。
1 一時金に関する団体交渉において、査定方法の具体的運用と従業員全体の平均支給額明示せず、一時金減額を議題とする団体交渉に応じなかったこと。
1 病院役職者等の言動、受諾書への干渉およびストライキに関する掲示において、組合活動に介入したこと。
以上、大阪府地方労働委員会の命令により手交します。
5 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
1202 考課査定による差別
分会員X1、X2に対する40年年末一時金以降42年年末一時金支給時における査定減額の理由は、いずれも合理性がなく、一方、病院の両名に対する態度をあわせ考えれば、X2に対する病気欠勤を理由とする減額を除き、いずれも両名の組合活動を嫌悪してなした不当労働行為である。

1603 組合活動上の不利益
6月26日の会議に、分会員または上部団体役員の出席を拒否した行為は当を得ないものであるが、X2に対して釈明の機会を与えていることからみて、同会議が懲罰委員会であるか否かについて判断するもでもなく、組合に不利益を及ぼしたとする主張は採用しがたい。

2131 支社等の出先機関
2248 実質的権限のない交渉担当者
従来から支部役職者は出席していない、支部役員の改選中である、支部・病院間で交渉権限配分につき疑義がある、等を理由に、組合からの団交申入れを長期間放置したことは、これらの理由がいずれも団交拒否の正当理由となり得ないところから、7条2号に該当する不当労働行為である。

2247 解決済
分会の再三にわたる団交申入れにも拘らず、既に回答済みであるとして、団交および文書回答をせずに放置した行為は、誠意ある使用者の態度とは認められず、団交拒否に該当する。

2300 賃金・労働時間
2900 非組合員の優遇
病院が別組合との交渉を先行させ、別組合との交渉に病院長を出席させ、分会との交渉に病院長を出席させなかったとしても、これによって実質的な交渉が行なわれなかったとは認められず、また、一時金の支給前に、減額理由とその額の明示を求めることは妥当でない。

2300 賃金・労働時間
一時金の査定方法の具体的適用と従業員の平均支給額の明示を求め、一時金支給後、減額された理由を質すため、分会がこれらを議題に団交を要求することは、十分理由があると認められる。したがって、これに応じなかった病院の態度は7条2号の不当労働行為に該当する。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
病院長が、分会との団交席上での組合側の発言内容を、薬局内で歪曲して述べたこと、薬局長の分会員と他薬局員とを離反させるような発言は、いずれも組合活動に圧迫を加えるものであり、分会に対する支配介入行為に該当する。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
病院事務長Y2の「……総評をかさにきて好き放題のことをやっている……」旨の発言は、穏当を欠くものであるが、分会員X1も感情的な発言で応酬しているなかでのことであり、これをもって支配介入に該当するとは認め得ない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
分会のストライキに対抗して、病院が掲示板にX1の氏名をあげ、「当然……従業員の登院を阻止し、又病客の出入りも阻害……違法行為……」との表現の掲示文を貼付したことは、正常な業務の遂行の確保のための措置よりも、分会の正当な組合活動に対する中傷を企図してなされたものと認められる。

2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
40年年末一時金の妥結条件のなかに「同年夏季一時金に関する申入れ書の撤回」が含まれていなかったにも拘らず、これを一時金支給の条件とした病院の態度は不当ともいえるが、最終的には、分会がこれに応じ、一時金が何ら支障なく支給されていることから、支配介入行為とは認め得ない。

2901 組合無視
41年年末一時金の妥結に際し、受諾書の「不満足ではありますが」との冒頭の文言の削除を求め、これに固執して一時金の支給を遅らせた病院の行為は、組合活動に対する干渉であり、7条3号に該当する不当労働行為といわざるを得ない。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集45集341頁 
評釈等情報   

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