概要情報
事件名 |
日本通信機 |
事件番号 |
神奈川地労委昭和41年(不)第9号
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申立人 |
総評全国金属労働組合神奈川地方本部日本通信機支部 |
被申立人 |
日本通信機株式会社 |
命令年月日 |
昭和46年10月 1日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が申立組合の就業時間中の組合活動につき賃金カット、交渉委員に上部団体の役員が入っていることにより団交拒否、および組合員の家庭を訪問し、組合脱退を勧めた事件で、団交拒否の禁止、支配介入の禁止、および陳謝文の交付を命じ、パックペイについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人側交渉員に上部団体役員が加わることを理由に、申立人の申し入れる団体交渉を拒否してはならない。 2 被申立人は、その職制をして申立人組合員の父兄を訪問させて申立人を中傷し、組合員の脱退をはかるなどして、申立人の運営の介入してはならない。 3 被申立人は申立人に対し、下記内容の文書をこの命令交付の日から7日以内に交付しなければならない。 記 日本通信機株式会社は、貴支部の申し入れる団体交渉を上部団体役員が交渉員に加わることを理由に拒否し、職制をして貴支部の切崩しをはかるなどして、貴支部の運営に介入したことを認め、今後かかる行為をしないことを誓約します。 昭和 年 月 日 総評全国金属労働組合神奈川地方本部 日本通信機支部 執行委員長 X1 殿 日本通信機株式会社 取締役社長 Y1 4 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1203 その他給与決定上の取扱い
就業時間中の組合活動を欠勤として賃金カットしたことは、すでにこの問題に関する覚え書の効力も失っており、また、特に申立組合員にのみカットしたとの疎明もないので、不利益取扱いとはいえない。
1203 その他給与決定上の取扱い
1604 その他
就業時間中の育児時間を欠勤として扱ったのは、労基法以外に労使間にとり決めもなく、したがって労基法以上に権利をみとめることもなく、また、特に他に優遇された従業員もいないので、不利益取扱いとはいえない。
2123 その他交渉出席者
本件団交拒否は、交渉員に上部団体役員が加わっていることに基づくものであり、仮りに過去において社内だけで交渉していたということであっても、それはむしろ会社の強固な態度によるものであるから、団交拒否の正当理由とはいえない。
2212 交渉の場所・時間
2213 交渉人数
団交時間、人員の制限、日時の変更等について組合に不満があっても、これらについての交渉がもたれており、かつ、団交を阻害するほどの無理な条件を会社が強いたものでもないので、これをもって団交拒否とはいえない。
2620 反組合的言動
会社配布のビラに、その表現において、多少のいきすぎがあっても、組合の言論活動への対抗としてなされたもので、また、異常な対立状態のもとで行われたものであるから、会社側だけに責任をおわせることはできない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
管理部長の家庭訪問は会社組織表、組合ビラ等を持参し支部の状況を説明し、支部役員がマル共であり、それらに近づかないよう組合員に説得するよう依頼していることなどから、会社が管理部長をして組合員の脱退工作をさせた不当労働行為であると認められる。
2802 福利厚生資金に関する寄付・貸付等
会社が従来と異なり組合主催の旅行に寄付をしなかったのは労使間の激しい対立状態の中で1回断っただけであり、また、その後労使でほとんど問題にしていなかったということからもして、不当労働行為には該当しない。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
一時金の団交の妥結が遅れたとしても、すでに支払い済みで解決していることであり、支配介入行為であるという主張は認め難い。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集45集228頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1972.3.1 142号 48頁 
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