労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  千歳交通 
事件番号  北海道地労委昭和45年(不)第32号 
申立人  苫小牧ハイヤー労働組合 
被申立人  千歳交通 株式会社 
命令年月日  昭和46年 8月13日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合活動家を乗車料金の不正着服を理由として懲戒解雇し、また、休暇等につき就業規則運用上、組合間の差別扱いをした事件で、原職復帰、バックペイおよび支配介入行為の禁止を命じ、陳謝文の掲示については棄却した。 
命令主文  1.被申立人は、申立人の組合員X1に対する昭和45年7月21日付懲戒解雇を取消し、同人を原職に復帰させ、かつ解雇の日から原職復帰にいたる間に、同人が受けるはずであった諸給与相当額を支払わなければならない。
2.被申立人は、就業規則の休暇や懲戒などの規定を運用するにあたって、申立人の組合員に差別扱いをしたり、組合の統一問題に介入するなどして、申立人の組合員に不安動揺を与え、申立人の団結を侵害するような支配介入をしてはならない。
3.その余の申し立ては棄却する。
4.被申立人は、第1項の履行状況を速かに当委員会に報告しなければならない。 
判定の要旨  0900 不正行為
3700 使用者の認識・嫌悪
組合活動家の解雇について、組合調査の結果事実関係に不審な点が判明し、会社幹部も再調査を命じたにかかわらず再調査を怠ったことは、会社が同人の組合活動を嫌悪していたことが推認され、同人の乗車料金不正着服事件発生を奇貨として同人を企業外に排除しようとしたものと認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2624 組合人事への干渉
3410 職制上の地位にある者の言動
会社幹部がA組合に提示したA・B組合統一案の内容は、A組合幹部を追放しこれを機会にA組合を一挙に壊滅させる意図がうかがわれるものであり、この行為は当該幹部個人の行為というよりは、会社の組合対策としてなされた行為と認められ、支配介入行為といわざるをえない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
二つの組合が対立抗争している状況下で、支店長が、一方の組合員に対してその組合を批判し他の組合に好感をよせる等の言動をなすことは、単に軽率であるのみならず、これらは組合に対する不当な介入を意図したものといわざるをえない。

1302 就業上の差別
1600 休暇の取扱い
1602 精神・生活上の不利益
組合員の眼病による下車勤務の希望に対しては慣行無視の欠勤扱いにしたり、一旦許可した有給休暇を途中で取消して欠勤扱いにしながら、他組合の委員長の飲酒乗務については放任している会社の措置は、組合員に対して精神的、経済的差別取扱いをしたものと認められる。

3102 争議対抗手段
賃上げ交渉が難行し、争議が長期化の様相を呈しているさ中に、会社が合理的理由もなく、会社案の個人別賃金支給一覧表を一部組合員に見せたことは、争議の切崩しのための不当介入と認めざるをえない。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集45集107頁 
評釈等情報  労働判例 1971.11.15  135号 48頁 

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