労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  中央油化 
事件番号  東京地労委昭和45年(不)第68号 
申立人  総評全国一般労働組合東京地方本部 
被申立人  中央油化 株式会社 
命令年月日  昭和46年 7月20日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社を批判した組合ビラの配付および車輛事故を理由に分会員を懲戒処分に付した事件で、車輛事故について遺憾の意を表する文書提出を条件として、処分の取消し、バックペイを命じた。 
命令主文  1 被申立人中央油化株式会社は申立人総評全国一般労働組合東京地方本部の組合員X1、同X2および同X3を技術部技術課研究係の本来の仕事に就かせなければならない。
2 被申立人会社は昭和45年5月4日付で申立人組合の組合員X1に対してなした同月6日から同月8日まで3日間の、同組合員X3およびX4に対してなした同月6日の就業禁止命令を取り消し、同人らにその間受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。
3 被申立人会社は申立人組合員X4、同X5が会社に対して同人らの事故に関して遺憾の意を表する旨の文書を差し入れることを条件として、(イ)昭和45年6月19日付で両名に対してなした同月22日および23日の出勤停止処分を取り消し、(ロ)同人らにその間受けるはずであった賃金相当額を支払い、(ハ)かつX4に同人から徴収した賠償金20,000円を返還しなければならない。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
解雇撤回後研究職にあった組合活動家らについて、余剰人員でもないのに原職復帰の努力もせず、元の賃金を支払うだけで、雑役に従事させているのは、同人らに対する不利益取扱であり、同時に、分会勢力の拡大阻止を企図した支配介入行為と判断される。

1401 労務の受領拒否
3020 組合活動への制約
正当な組合活動としての文書配布行為を理由に始末書の提出等を求め、これを拒否されたことを理由に就労を禁止し賃金を差し引いたのは、本人に対する不利益取扱いであり、同時に、組合の文書活動を抑圧する支配介人行為にも該当する。

1400 制裁処分
3600 処分の差別
会社が、X4の分会員たることを表明した直後の事故について直ちに責任を追求し、併せて、不問にしていたX5分会員の事故責任をも追求したこと、分会員以外の者の事故責任は追求していないこと、X4・X5の事故そのものよりも両名の態度を重視していること、その他を総合すれば、会社の両名に対する責任追求は、他の者の分会加入を恐れ、これを牽制するため、X4の事故を奇貨として他の分会員の責任を追求したもので、7条1・3号に該当する。

4417 条件付命令・協議命令
X4・X5の車両事故に対する会社の責任追求は不当労働行為であるが、X4・X5にも全く責任がなかったとは判断できないから、救済方法としては、両名から会社に対して遺憾の意を表する旨の文書を差し入れることを条件とした。

業種・規模  石油製品・石炭製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集45集87頁 
評釈等情報  労働判例 1971.10.15  133号 70頁 

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