労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  光タクシー 
事件番号  中労委昭和44年(不再)第15号 
再審査申立人  光タクシー 有限会社 
再審査被申立人  光タクシー労働組合 
命令年月日  昭和46年 4月21日 
命令区分  再審査棄却(初審命令をそのまま維持) 
重要度   
事件概要  賭博行為、料金不正行為、業務命令違反等を理由に、委員長、書記長、執行委員を解雇した事件で、3名の原職復帰、バックペイを命じた初審命令を支持して再審査申立てを棄却した。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  0600 暴力行為
組合役員X1の解雇理由のうち、暴力行為については、けんかそのものは好ましい行為ではないが、X1がX2に暴力をふるったとの事実が認められないことからみて、これをもって解雇理由の一つとした会社の措置は合理的でない。

1105 職場外の行為
組合役員X1の解雇理由のうち、X3に対する脅迫行為とは、X1の組合加入説得行為をいうのであるが、その際、同人はナイフを所持していたがそれでX3を脅迫した事実はなく、また、勤務時間外のことであるから業務を妨害したわけでもないので、これをもって解雇理由の一としたことには合理性がない。

0600 暴力行為
組合役員X2の解雇理由のうち、X4に対する脅迫行為とは、スト中に会社を退職し組合を脱退しながら、スト後再入社したことは組合に対する背信的行為であると非難したものであって、多少の行き過ぎは認められるが脅迫とまではいえないし、この程度のことを解雇理由としたことには合理性がない。

0700 職場規律違反
組合役員3名の解雇理由のうち、賭博行為については、当時社内の職場規律が弛緩しており、従業員の殆んどが賭博を行なっていたこと、同人ら以外は軽い処分であったこと、賭博を含め職場秩序維持について労使間で協議することになっていた時期に解雇していることからみて、合理的理由とはいえない。

1102 業務命令違反
3600 処分の差別
組合役員2名の解雇理由のうち、業務命令違反については、会社の労働時間管理がルーズで時間外労働も会社の許可なく行なう慣行があること、所定ダイヤどおり帰庫しなかった者のうち、同人らを除いた3名については何の処分もなされていないことからみて、上記理由は合理的理由とは認められない。

0900 不正行為
組合役員2名の解雇理由のうち、料金不正行為については、これらの行為が単なる過失、または客のいたづらによるものであること、同人らに料金着服の意思が認められないこと、これらの事件がいずれも解決済みであることからみて、これをもって解雇理由とすることには合理性がない。

4405 バックペイから他収入控除
労委の救済は、原職復帰とならんで解雇から復職までの間の受べかりし諸給与相当額の支払いを命ずるのが相当であると考える。したがって、被解雇者がその後他社に就職して収入を得たとしても、これを控除するか否かは、本件労使関係正常化のための救済にあたり考慮すべき限りでない。

4407 バックペイの支払い方法
被救済者に支払うべき賃金相当額から、仮処分決定に基づく競売によって得た売得金を控除すべきか否かは、本件救済命令履行に際しての問題であって、救済命令を発するにあたって考慮すべきものではない。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集44集566頁 
評釈等情報  中央労働時報 昭和46年7月10日  515号 18頁 

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