労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  三菱重工業 
事件番号  長崎地労委昭和43年(不)第3号 
長崎地労委昭和43年(不)第4号 
申立人  全日本造船機械労働組合三菱重工支部長崎造船分会 
被申立人  三菱重工業 株式会社 
命令年月日  昭和46年 3月22日 
命令区分  棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) 
重要度   
事件概要  昇給査定の組合間差別および会社批判文書の配布、掲示を理由に分会委員6名を懲戒処分に付した事件で、申立てを棄却した。 
命令主文  本件申立てを棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
 昇給査定の結果申立組合員のほとんどが平均以下であるとは認められるが、査定基準に所属組合による差別があるわけでなく、また、抽出した十数名の組合員と別組合員との差異についてはそれぞれ査定上の理由が説明されていることなどからみて、本件昇給の組合間差別は査定結果によるものとみるほかない。

0421 幹部責任
1400 制裁処分
 職場新聞の発刊責任者に対するけん責処分は、記載記事内容が本来の目的である業務上死亡災害の発生原因を究明せずに、その原因が一方的に会社にあるとして、激しい攻撃的な表現を用いて、読者に会社への対立感情をあおることに終始していることからみて、不当な処分とは認められない。

0421 幹部責任
1400 制裁処分
 組合掲示板・職場新聞発刊責任者に対するけん責処分は、掲示文・掲載記事がいずれも職制に対する穏当を欠く批判・やゆ・ひぼうであり、警告が発せられたにもかかわらず重ねてこれらの行為を行なったことから職務秩序びん乱に該当するとして就業規則に基づいてなされたもので、相当な処分と認められる。

0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
3020 組合活動への制約
 会社幹部の巡視に関連して、組合掲示板に掲示された「ごますりの心」は、労働条件に関する意見・批判でなく、工場職制に対する批判であり、文章も多数者の前に掲示するには穏当を欠くものと認められるところからみて、工場長が分会に掲示文の撤去を申入れ、撤去させたのは当然の措置である。

0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
3106 その他の行為
 「まごころ」の記事中、他工場出加勢一部終了に関する記事は、復帰者人選基準にふれず工場長に対するやゆに終始し、職制の職場訪問に関する記事も、職場訪問の可否でなく職制へのひぼうに満ちているなど、表現が穏当を欠くところからみて、工場長が分会に警告を発したことには理由がある。

3106 その他の行為
 「まごころ」の記事中、出加勢の人選に関し「差別に屈せず頑張ろう!」と題する記事があるが、出加勢者の人選は、従来から会社が事前に分会に事情を説明したのち、会社の業務上の判断基準に基づいて人選を行なっているのであるから、事実と相違する記事について、会社が分会に抗議したことには理由がある。

3106 その他の行為
 「まごころ」の記事中、出加勢先の安全対策に関し、「……足場なしで作業させられたことが再三ありました……」旨述べた部分は、会社の指示で足場なしで作業した事実が認められないところからみて、工場長が分会に抗議し警告を発した行為には理由があるといえる。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集44集498頁 
評釈等情報  労働判例 1971年7月15日  127号 60頁 

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