労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  永井鉄工所 
事件番号  大阪地労委昭和45年(不)第61号 
申立人  全大阪金属産業労働組合 
被申立人  株式会社 永井鉄工所 
命令年月日  昭和46年 6月10日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合が結成されて以来、団交について会社が、交渉時間を一方的に制限したり、交渉内容においても不誠意な態度で終始したとする事件で、誠意ある団交の応諾、団交遅延行為の禁止、ポストノーティスを命じた。 
命令主文  1. 被申立人は、申立人との団体交渉において、交渉時間を、一方的に1時間に限定してはならない。また被申立人は継続して団体交渉すべき事項についての次回交渉日時を、団体交渉の席上で決定せず、そのつど文書で申立人から改めて団体交渉の申入れをさせるなど、団体交渉の遅延となるようなことをしてはならない。
2.被申立人は、過去3年間の退職者に支給した退職金額を明示することならびに退職金の支給基準を明らかにすることを含め退職金問題について、申立人と団体交渉を開催しなければならない。
3. 被申立人は、縦1メートル、横1.8 メートルの白紙または白色木版に下記のとおり墨書して、更衣室内の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
              記
                       年 月 日
  全大阪金属産業労働組合
    執行委員長 X1殿
                株式会社永井鉄工所
                 代表取締役 Y1
 当社は、退職金問題および昭和45年度賃金問題について誠意をもって団体交渉に応じず、また交渉時間を1時間に限定し、団体交渉続行中にしばしば一方的に退席し、さらには継続して団体交渉すべき事項についての次回交渉日時を団体交渉の席上できめようとしませんでした。
 このような行為は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為を繰返さないことを誓約します。
 以上、大阪府地方労働委員会の命令によって掲示します。
4. 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2212 交渉の場所・時間
2249 その他使用者の態度
本来交渉時間は、労使間の話合いによって決定されるものではあるが、会社が一方的に1時間に限定し、交渉中でも一方的に退席するなど、話合いによって解決しようとする態度がない場合は、誠意をもって団交を行なったものとは認められない。

2244 特定条件の固執
賃上げなどのように継続して交渉すべき事項についての次回交渉日時は、団交の席上等で労使合意のうえ決定されるのが通常であり、本件のように事後になって改めて組合から団交申入れ書を提出させ会社が一方的に決定するという方法を固執する態度は、団交に誠意がなかったものと認められる。

2240 説明・説得の程度
退職金問題の交渉にあたり、組合が過去の支給実績や支給基準を明らかにするよう求めた場合は、誠意をもって説明し、また対案や資料を提示すべきで、これらを拒否した会社の態度はあまりにも誠意を欠き、団交拒否の不当労働行為といわざるをえない。

2240 説明・説得の程度
賃上げ要求に対し、賃上げ額だけを回答して、その根拠等の説明をしないことは団交について不誠実な態度というべきで、団交拒否の不当労働行為といわざるをえない。

4503 他の救済との関係で団交の必要性を認めなかった例
団交にあたり、賃上げ回答の根拠を説明しない会社の態度は誠意をもって団交に応じたとはいえないが、その後賃上げ問題は妥結しているので、今後の不作為を内容とするポストノーティスを命ずることにより救済の実を果しうると考える。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集44集432頁 
評釈等情報  労働判例 1971年9月15日  131号 69頁 

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