労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  富田林市 
事件番号  大阪地労委昭和45年(不)第19号 
大阪地労委昭和45年(不)第59号 
申立人  X2 
申立人  X1 
被申立人  富田林市 
命令年月日  昭和46年 6月 8日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含 む) 
重要度   
事件概要  いわゆる地方公務員の統一闘争参加を理由に委員長X1、書記次長 X2を戒告処分に、また、賃上げ等に関する「覚書」違反を原因とするすわり込み闘争を理由に両名を訓告処分に付した事件で、 統一闘争参加を理由とするX3の処分を除き、処分の取消し、バックペイを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、昭和44年11月13日の統一行動に関連して、申 立人X2に対して行なった戒告処分ならびに定期昇給延伸の措置がなかったと同様の状態に回復させ、同人の定期昇給月に昇給し たものとして、同人が受けるはずであった昇給相当額を支払わねばならない。
2 被申立人は、昭和45年6月9日より同月12日までのすわり込み闘争に関連して、申立人X1および申立人X2に対して行 なった「訓告書」による「訓告」ならびに定期昇給延伸の措置がなかったと同様の状態に回復させ、同人らの定期昇給月に昇給し たものとして、同人らが受けるはずであった昇給相当額を支払わねばならない。
3 申立人のその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  0417 法令・協約・信義則違反
3600 処分の差別
本件職場集会は地公労法に禁止する争議行為に該当するが、書記次長に対する戒告処分は、他の組合役員に対する処分と比べ重き に失するところからみて、かねてからの同人の活発な組合活動を市が嫌悪したことによるものと判断される。

0421 幹部責任
1400 制裁処分
本件職場集会が地公労法に禁止する争議行為に該当する以上、その総轄責任者として委員長を戒告処分に付したことは妥当性があ る。

0417 法令・協約・信義則違反
単に就業時間前の職場集会が就業時間に若干食い込んだものと異なり、始業時間の数分前に開催したことからみて、業務の正常な 運営を阻害する意図をもったものであるから、保安要員の配置などにより市民の苦情や窓口業務の混乱がなかったとしても、地方 公務員に禁止された争議行為に該当する。

0420 その他の争議行為
本件就業時間中のすわり込みは、組合指令に基づく集団的な職場離脱であるから争議行為と認められるが、すわり込んだ場所は市 民に直接迷惑をかけるところでなく、参加した人員からみても実質的には業務の正常な運営が阻害されたものとは認められず、地 公労法が禁止の対象とする争議行為ではない。

0420 その他の争議行為
有給休暇は、正常な労使関係を前提とする制度であり、争議行為はこれを破るものであるから両者は両立しえず、したがって、争 議行為に利用する目的で請求されたものについて使用者がこれを拒否しても違法でないばかりでなく、労働者がかかる目的で請求 すること自体当をえないものと判断する。

0420 その他の争議行為
3606 労働者のみの責任とすることが不当な場合
就業時間中の職場離脱によるすわり込みが、市の背信行為に起因する組合の抗議行動である場合は、その非は信義則に照し市側に あると認められ、そのことを等閑に付して組合の行為のみを責めることは妥当でない。

業種・規模  地方公務(市町村機関) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集44集417頁 
評釈等情報  季刊労働法 1971年9月 21巻3号  109~117 頁 
労働法律旬報 S-46-7-15   782号 (別冊) 
労働判例 1971年8月15日  129号 76頁 

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